エジプトのピラミッドの底辺と高さ、ギリシャのパルテノン神殿の高さと底辺は、1:1.618(1:(1+√5)/2)という共通の比になっています。これは、黄金比と呼ばれるもので、古代西洋では均整の取れた美しい比率とされていました。オウム貝の螺旋形状はとても美しいですが、これは自然界の黄金比の代表といわれています。さらに、ミロのビーナス像のへそから上と下の長さの比、モナリザやオードリー・ヘップバーンの顔の横と縦の長さの比もこの比率になっています。また、身近なところでは、トランプや名刺、タバコケースの短辺と長辺の比も黄金比になっています。
これに対して、日本においても古来より、黄金比のような美しい比率が存在します。いわゆる、白銀比と呼ばれるもので、1:1.414(1:√2)で表されるものです。たとえば、法隆寺五重塔の平面形や、仏像の顔、身近なものでは、A4版の紙やはがき、新聞紙の短辺と長辺の長さの比率です。ヨーロッパ人の美形の基準である黄金比に対して、日本(アジア)人の基準は白銀比というちょっとふっくらした顔立ちが美形とされていたようです。
ところで、現場で使う道具に差金というものがあります(最初に考案したのは聖徳太子だといわれています)。元々は大工さんが使う道具ですが、実際には色々な業種の職人さんが使っています。元来、この差金には表目と裏目があって、表目には一般的な1㎜ごとの目盛が刻んであり、裏目にはひと目盛を√2倍した目盛が刻まれています。たとえば、この裏目で丸太の直径を測るとその寸法はその丸太に内接する正方形の一辺の長さとなり、この丸太から加工できる最大の正方形の大きさを知ることができます。また、1:1.414は5:7と同じなので(厳密には近似値ですが)、正方形の縦と対角線と横の比は、5:7:5となり、これは俳句の五・七・五に通じるといわれています。数の比の不思議です。