新薬師寺の南門前に南都鏡神社が祀られている。
写真は割り拝殿。
大同元年(706)に新薬師寺の鎮守として創建。
本殿は一間社春日造りで、享保13年(1728)に春日大社本殿第三社として建てられ、延享3年(1746)にここに下賜された。
祭神は天照皇大神、藤原広嗣、地主神。
藤原広嗣は五異七能の才があり、僧玄昉・吉備真備の非を訴え、非業の死を遂げたがその怨霊を恐れて祀られた。
万葉の詩人としても名高い。
すぐ横にある摂社、比賣神社(ひめがみしゃ)は十市皇女を祭神とする。
十市皇女(とをちのひめみこ)は、父は天武天皇、母は額田姫王、夫は大友皇子(弘文天皇)であり、壬申の乱では父と夫の戦いになるなど、悲運な人生を送ったことで知られる。
傍に十市皇女を詠んだ万葉歌碑が立っている。
後に吹芬ノ刀自を伴って伊勢神宮に赴き時、刀自が傷心の皇女を慰めた歌、
「河のへの 斎つ岩群に苔むさず 常にもがもな 常処女にて」
万葉巻1-22
さらに神像石が並ぶ。
淡海三船公は曾祖父の弘文天皇(大友皇子)・十市皇女から自分までの四代(と妃)に亘る孝養を讃えた御姿石を祀っている。
また日本最初の漢詩集「懐風藻」を編集したことでも知られる。