興福寺を出て奈良まちを歩きながら元興寺に向かう。
この辺りは夜ともなると、ネオンが煌めき私好みの風情ある飲食店が並ぶことになる。

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元興寺は奈良の寺院の中でも好きな寺院の一つである。
593年に日本で最古の寺とされる法興寺(飛鳥寺)が蘇我馬子により建立され、平城遷都に伴ないこの地に移され元興寺となった。
入り口に建つ東門は、室町時代築である東大寺西南門が移築されたもので、重文指定。(写真)
宗派は真言律宗。

この元興寺の里は女流万葉歌人、大伴坂上郎女によって詠まれている。
「古郷の 飛鳥はあれど青によし 平城の明日香を 見らくしよしも」
往時は七堂伽藍が並び隆盛を極め、南北500m、東西250mの寺域であったという。
しかし現在ではわずかに東大塔跡、西小塔院跡、極楽堂、禅室を残すのみである。

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現在の本堂に当るのは、鎌倉時代に僧坊の一部が改造されて、智光曼荼羅を祀り極楽坊(写真)になったもの。
東を正面として建ち、国宝指定されている美しいお堂である。
屋根は行基葺きという天平時代の重ね葺きで有名。

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極楽坊の後ろには禅室が建っている。
当初は十二坊を有した長さ88mという長大な建物であったが、現在はそのうち三坊分を吹きっ放しとして畳敷きとして改造されたもので、国宝指定されている。
写真の左奥が禅室と石仏群。

またごく最近のニュースとしては、禅室の屋根裏から日本最古の木材が発見されたことであろう。
たまたま新聞で読み、「屋根裏探検」入場の申し込みをしたところ、3名の整理券を入手した。
ところが3名入場したあと、遅れてきた2名も有難いことに入場を許された。
ただし特別拝観として一人900円を支払う。

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狭い屋根裏に案内されると、各年代の木材が再利用されているのがよく判る。
写真の北入側柱筋頭貫は590年+αの年代が計測され日本最古とされる。(写真)


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元興寺を出たのが17時頃、このあと「ならまち格子の家」(写真)に向かって歩き、「ならまち」を散策。
伝統的な奈良の民家を再現したものであるが、残念なことにこの日は休館日であった。

この日の会食は「ならまち」の近くにある「酒肆春鹿」を予約。
以前に一度訪ねて、銘酒「春鹿」と料理に感激したことがある。
前回はカウンターであったが、今回は昔ながらの造りの二階和室に上がり、ゆっくり酒と料理を楽しむ。
このあとJR奈良駅近くのホテルまでブラブラ歩く。