ホテルグランヴィア大阪は大阪駅と直結していることもあり大変な込みようであった。
朝食は素晴らしくまた美味であり大満足。
この日は女房殿は真直ぐ東京に帰り、私一人で堺市の寺社巡りに出かけた。
堺市には会社に入社して三年目から赴任し、九年間を過ごした思い出の地でもある。
ただ仕事を覚え始めた頃であり、また結婚もし、仕事と酒の付き合いの毎日であった。
そのため寺社巡りなんぞ、考えもしなかったしまた出来なかった時代であった。
この日は地下鉄御堂筋線で、終点の中百舌鳥駅まで行き、泉北高速鉄道に乗り換えて泉ヶ丘駅に下車。
40数年前に泉北ニュータウンができたとの記憶があるが、足を踏み入れるのは初めてである。見渡す限りの丘陵地帯に団地が点々とあり、一方で周囲は自然そのままの風景が残っている。
泉ヶ丘駅からタクシーに乗って、お目当ての桜井神社、法道寺、多治速比売神社を廻ってまた泉ヶ丘駅に戻るコースを設定。

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タクシーは団地の間を抜けて走り、昔ながらの村里の中に桜井神社はある。
祭神は仲哀天皇、応神天皇、神宮皇后であり、上神谷八幡宮とも呼ばれる。
質素な木造山門が迎えてくれるが、神社に山門とは昔の神仏習合の名残であろうか(写真)。


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今回わざわざ泉ヶ丘まで来たのは、桜井神社の国宝拝殿を見たかったからである。
写真で見知っていたが、少し変わった拝殿で中央に土間の通路がある割り拝殿である(写真)。
鎌倉初期の建築で、切妻造、二重虹梁蟇股工法の桁行五間、梁間三間の建物である。
朱色で思ったよりも小ぶりながら、均整のとれた美しい拝殿に満足。

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拝殿の周囲には縁はなく、側面は壁で、内部は天井を張らず屋根裏をそのまま見せる。
拝殿の中でも全く異色であり極めてシンプルな造りであるが、見ていて魅力のある不思議な建物である。
写真は拝殿を横から写したもの。

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本殿(写真)には国神社、山井神社が左右に控え、その周りを八坂、多賀、住吉、市杵嶋、武内等々の末社が祀られている。
また戎社、絵馬殿、神輿庫、社務所などもあった。
「上神谷のこおどり」は10月秋祭の奉納舞踊として無形文化財指定されている。

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さらにタクシーは丘陵を南に走り、堺公園墓地の近くにある法道寺に。
山号は鉢峰山、真言宗の寺院で、670年に法道仙人が勅願寺として開創。
さらに844年、慈覚大師が仁明天皇の勅により当山に籠り、薬師像および向背に千体の薬師仏を造刻とある。
写真は古寺の雰囲気の木造山門。

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正面に木造本堂が建っている(写真)。
新しくすっきりした建物
また右手には木造大師堂も建っていた。
これらはいずれも江戸期の建造物とある。

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食堂は鎌倉中期の建築で重文指定(写真)。
緩やかな傾きの屋根と、格子の窓が優雅そのもの。


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さらに多宝塔がそびえ立つ(写真)。
室町中期の建築でやはり重文指定。
シャチ等の彫り物もあるという。
こんな山奥まで来るのは大変なので、ここまで訪ねるかどうか随分迷ったが、わざわざ来て良かったとしみじみ感じながら拝観した。

続いては多治速比売神社に。