くりかえす 谷川俊太郎
くりかえしてこんなにもくりかえしくりかえして
こんなにこんなにくりかえしくりかえしくりかえしくりかえして
くりかえしくりかえしつづけてこんなにもくりかえしてくりかえし
いくたびくりかえせばいいのかくりかえす言葉は死んでくりかえすものだけがくりかえし残るくりかえしそのくりかえしのくりかえしをくりかえすたび
陽はのぼり陽は沈みそのくりかえしにくりかえす日々
くりかえし米を煮てくりかえしむかえるその朝のくりかえしにいつか夜のくることのくりかえしよ云うな云うなさよならとは!
別れの幸せは誰のものでもない
私たちはくりかえす他はないくりかえしくりかえし夢みあいくりかえし抱きあつてくりかえしくるよだれよ
もう会えないことをくりかえし
いつでも会うくりかえし会わないくりかえしの樹々に風は吹き今日くりかえす私たちの絶えない咳と鍋に水を汲む音
おお明日よ明日よ
何とおまえは遠いのだ