その人は、お別れの言葉は言わなかった。
でもきっともう戻ってくることは叶わないと知っていたと思う。
私も今までの経験から、きっと彼女はもう戻って来れないだろうと思った。
私は彼女に労いの言葉をかけた。
「お疲れ様でした、また待ってるからね」
彼女は私に感謝を述べて行った。
「本当にありがとうね」
もう死んでしまいたいと打ち明けられた時があった。
長らく治療を続けるのは本当に辛い。
私は彼女の心に寄り添うことは出来たかな。
この仕事、もうすぐ22年になるけれど
まだまだ涙がこぼれる時もあります。
でも、それでもいいのかな、とも思います。
人生の大先輩達から、たくさんのキラキラした欠片をもらう毎日です。
明日からもまた頑張ろう。