こんばんは、ジュンです。
精神病院廃絶法であるバザリア法により、
精神病患者たちが一般社会で暮らせるような地域づくりに、
世界で初めて挑戦したイタリア。
そこで生まれた実話をもとに作られたコメディ、【 人生、ここにあり!】
公開時、見逃してしまったのですが、2本立て上映で見てまいりました。
1983年、活気溢れるミラノの労働組合員ネッロは、
正義感が強く、労働の近代化や市場に対して情熱を傾けていた。
しかし労組のために出した本が型破りだとされ、
所属していた組合から移動を命じられる。
移動先は、精神病院の患者たちを地域に戻し、
一般社会で暮らせるようにするというバザリア法によって、
閉鎖された病院の、もと患者たちによる協同組合だった。
しかし彼らは、自由な生活を送るどころか、
医師の管理にもと、毎日を無気力に過ごしていた。
持ち前の熱血ぶりを発揮せずにいられないネッロは、
彼らに自ら働いてお金を稼ぐことを持ち掛ける。
みんなを集めて会議を開くが、個性豊かなメンバーたちはバラバラで、
話し合いはなかなかまとまらない。
しかし何とか床貼りの仕事をするに決まり、無謀な挑戦を始めるが、
なかなか思うように仕事がこない。
やっと決まった現場でも、組合員たちは次々に失敗する。
そんなある日、仕事現場のアクシデントをきっかけに、
彼らの人生が180度変わるようなチャンスが訪れる・・・ ( goo映画 参照 )
イタリアにこのような法律があることを知らなかった管理人・・・
病院を出た元患者たちが所属するのは社会協同組合と呼ばれる組織。
地域の精神保健サービス機関の元に置かれ、
社会と共存するために訓練と仕事を生み出し、
仕事に見合う賃金を支払うという役割を果たしているのです。
と、映画を見て管理人は解釈しました。
元患者が組合員であり、労働者であるため、
基本的には、すべての人が平等。
様々な決定には必ず全員で会議で話し合いがなされるのです。
とはいっても、精神科に入院していた患者がメンバー。
自閉症であったり、脅迫観念を持っていたり、突然暴力的になったりと、
個性豊かな面々ばかり。
しかし、ネッロは彼らを一切特別視せずに接するところが素晴らしいのです。
彼らのいいところを見つけ、それを引き上げ、絶対に否定しない。
短所も個性とみなし、適材適所にあわせて仕事を振り分けてゆく。
まぁ~、ホントにこんなに上手くいくのだろうか・・・・?
と、疑問は湧くのですが、
実話をベースに作られている作品ですので、あながち嘘ではないのでしょう。
彼らをサポートする医師と対立したりするシーンは、本当にあったことだろうし、
専門家の立場からみれば、あまりにも現実離れしたいるだろう! と考えるのは、
当たり前だと思います。
初めはまったく上手くいかなかった床貼りの仕事・・・・・
それが、偶然をきっかけに、廃材を利用した芸術的な寄木貼りへと進化!
これは、精神疾患をもつ患者さんの中に、多くの特殊能力を持つ方がいるという、
世間でも知られている事実を、取り上げたエピソードですね!!
このような長所を上手く生かして、
一般社会のなかで生活して行こうということなんです。
医師に出されていた薬のせいで、やる気のなかった彼らが、
薬を減らし、仕事を始め、賃金を受け取るようになり、自信を持つようになると、
やはり異性への興味も生まれてくる・・・
いやぁ~、さすがにイタリア気質!!
元気になった男性は、一気に女性に恋を始めます。
仕事先で恋に落ちたジョージ君・・・
彼の恋は、あまりにも悲しい結末になってしまいました。
このエピソードはあまりにも切ないけれど、
この映画の中だけでなく、精神疾患を持った方たちの大きな問題として、
キッチリと、捉えなければいけないことなのです。
何もかもキッチリと、ひとつの不祥事も許さないわが国では、
恐らく考えられない制度だと思うのですが、
隔離するだけが方法ではないことを考えるきっかけしたい作品です。
笑って、ちょっとホッロっとして、そして考える・・・
そんな映画でした。