【 クヒオ大佐 】 | Darkside of the Moon

Darkside of the Moon

旅行、映画、アルコールなどなど、日々のアレやコレやを書き連ねております。

映画感想ブログ 『 勝手にシネパラ! 』 は、ブックマークからどうぞ! 

こんばんは、ジュンです。


先日見てまいりました、【 クヒオ大佐 】の感想でございます。




  「 父はカメハメハ大王の末裔。

   母はエリザベス女王の妹の夫のいとこ。

   結婚すれば米軍から結婚支度金5千万円・・・ 」


  かつて、このようなデタラメを並べて、女性達から推定1億円を騙し取った男がいた。

  そんな実話を基に創作した一大エンターテインメント映画。



  彼の名は、ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐(堺 雅人)。

  時代は湾岸戦争が始まった1990年代初頭。

  米軍特殊部隊ジェットパイロットという経歴をかざし、

  たどたどしい日本語で戦場での武勇伝を語り、

  次から次へと女性を騙す、稀代の結婚詐欺師である。


  その日のターゲットは、博物館のエリート学芸員・浅岡春(満島ひかり)。

  クヒオは、子供達を引率する彼女に、

    「 あなた、子供嫌いでしょう 」

  とだけ声をかけて去ってゆく。

  唐突に言われ、言葉を失う春。

  翌日、再び春の職場を訪れ、自分の経歴をアピール。

  そんな彼に、春は興味を持ち始める。


  一方で、弁当屋女社長・永野しのぶ(松雪泰子)との中も進展中。

  彼女は、すでにクヒオに夢中。

    「 入籍すれば、米軍から5千万円 」

    「 英国のダイアナ妃のドレスを手がけたデザイナーにウェディングドレスを注文する 」

  といった言葉にうっとりし、社交界へのデビューに備え、

  英会話のレッスンにも励んでいる。


  さらに、クヒオはまた新たなターゲットを見つける。

  銀座で働くNo,1ホステス・須藤未知子(中村優子)に、投資話を持ちかける。

  しかし、未知子だけは彼の正体を見抜き、逆に彼を欺こうとする。


  やがてほころび始めるクヒオの嘘。

  次第に膨らんでゆく女達の疑念。

  果たして、クヒオは!?

  そして、女達は!?

  そこに、本当の愛は存在しなかったのだろうか!?   ― 公式HPより ―




この話が実話であるということに、まず、呆れてしまう (;´▽`A``

それも、遠い昔の話ではない。

こんな胡散臭い男に、どうして騙されてしまうのか!?

それが、女の性なのだろうか・・・


もう、見るからにうそ臭く、どこから見ても隙だらけの詐欺師を、

付け鼻を付け、片言の日本語を操りながら、堺 雅人が楽しく演じている。

彼の持つ独特の穏やかさと、柔らかな物腰が、

女を惹きつける、不思議な魅力となっている。

うそ臭さの中にも、もしかしたら騙されるかも・・・

という、可能性を感じさせるのは、さすがである。

堺だからこそ出来た役かもしれない。


見事に騙される女・しのぶの松雪も、田舎の弁当屋の社長の素朴さが良かったし、、

クヒオの嘘を一目で見破った、しのぶの弟役の新井浩文がいい味を出していた。


この映画の面白さは、キャスティングが成功したからではないだろうか!



そして、映画終盤に短く挟み込まれるクヒオの過去が、

彼の人生を切ないものにさせる。

彼の過去を描く時間を最小限に抑えたことで、

ちょっとだけペーソスが心に残る作品に仕上がったのだろう。


出来れば、そんな過去を背負った彼が、なぜ結婚詐欺をしようと思いついたのか、

そこをもうひとつ踏み込んで欲しかったと、思う。



時間があったら、見ても損はない作品でございます。



クヒオ大佐 (幻冬舎アウトロー文庫)/吉田 和正
¥560
Amazon.co.jp