第十七話 過去  ☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*







「私にはお父さんとお母さんがいる。宇宙飛行士の…


上條翔弥と上條愛菜ってわからない?」



「…え、そりゃぁもう!

だって…あのNASAから逆指名が来たらしいし、何より日本だけじゃなく、

天文学の為にフランスを拠点としてイギリス、パリ、ロンドン、ニューヨーク…

あの大手企業『starsky』を立ち上げたのも上條さんだって…

もちろん知ってる!

……………僕らは君の母方の従兄弟だったからね。

お母さんの旧姓東藤しか知らなかったからな…

お母さんに会ったのも幼い頃の一度きりだったし…」






「………うん。あの有名な、ね。

でも私の両親は勝手で…あんな年になってもまだ夢を追って…今度は20年離れるの」




「20年!?」





「うん…フランスで羊のお父さんたちと書いた論文が認められて…

その後、研究論文も認められて…うちの両親はこれから研究をまた始めるらしくて。

それに、また宇宙に飛ぶみたいで。

忙しくてもう会えなくなっちゃって…そんな時、私の幼馴染みの一兄が引き取ってくれるって。

うーん、6歳くらいだったかなぁ・・・

それで、戸籍ごと移動することになって。

だから血は繋がってないし…私には兄がいたから」





「…え?」






「………梓と翼に初めてあったのは5歳だったよね。

お兄ちゃんは、私が4歳、お兄ちゃんが6歳、一兄が6歳の時…死んじゃったから」



「…、」



「…続けるね。兄・脩斗が死んだ原因は、私のせいで………」












「お前のせいじゃないっ…!」













第三者の声が道場の入り口から聞こえ、見やるとそこには息切れた――――



――――保険医・星月琥太郎の姿が。




ずんずんと真稀たちの方へ歩み寄った。




「…何度も言っただろう。


アイツは……脩斗はお前を助けるために犠牲になったんじゃない。


未来を変えるために…」



真稀の項垂れた細い肩を掴み、前を向かせる。






「…っでも!私が!お兄ちゃんの言いつけを守って、道路に飛び出さなきゃっ…」




真稀は抱き締めてきた琥太郎の胸をどんどんと叩く。





「アイツの星詠みは絶対だ。だから…多分アイツには見えたんだろう…

愛する妹の哀れな姿が」



琥太郎は昔の様に真稀を撫でた。



胸を叩く気力もなく、体を預ける。



「………お兄ちゃんっ」




綺麗な滴を流して―――



「あの…お二人はどんなご関係何ですか?」



梓は先程から気になっていた疑問を突きつけた。



「…琥太ちゃんは、私の、婚約者」



「………いや、親が勝手に決めたことだ。気にするな、木ノ瀬。



それより気になっているのは、昔の関係性だな?」




梓は…目を見開いた。


こ、ん、やくしゃ…?


後方の言葉は聞こえなかった。


「…はぁ。木ノ瀬、大丈夫か?

取り敢えず話すぞ…………

俺とこいつの兄貴、不知火は仲が良かったんだ。

真稀は体が悪くて、いつも出られない真稀の為にいつも家に行って、笑わせてた。

三人で真稀を守るってよく言ってたもんだ…

出会って一年の夏…漸く外出許可が出た真稀を連れて近くの公園へ四人で行ったんだ。

そして脩斗は俺と不知火にこう言った。

星詠みで見たんだと。

真稀は…トラックに引かれて死ぬってな。その未来を何としてでも防ぎたいって。

アイツは懇願してきた。

勿論、約束したさ。守るって…。

その後、真稀の要望で俺らはボールで遊んでたんだ」



「…っまさか!?」



梓はその後の展開に眉をひそめる。



「…ああ。そのまさか、だ。真稀は飛び出したボールを取りに走っていった。



俺たちは血相を変えて叫んだ。真稀と―――――








『琥太兄ちゃんと一樹はここにいて。真稀は…僕が守る』



脩斗は踵を返して真稀の向かった道路へ赴く。



『…っはぁ……真稀…危ないっ………………


漸く真稀を捕まえた、と思ったら、手から飛び出たボールを再び追った、真稀。



トラックはすぐに近づいていた。












パッパー












雄叫びにも近いトラックのクラクションが耳に木霊しだす。


真稀は痛い未来を想像し、目を瞑る。


ぎゅ


『真稀…大丈夫………?』


耳には大好きな兄の声が


それは自分の耳のすぐそばで発せられたことに気づいた。


身体が圧迫されている。


恐る恐る上を見ると…


『真…稀…約束…守れ…なくて…ごめ…んなっ…


いつまでも…―――――から…………』



血塗れの兄は涙を私に落として逝きました。






これが最後の言葉…







「…お兄ちゃんの最後の言葉………そこだけ記憶が抜けてるの

約束の意味、そして抜けている言葉…それを知るため…

あと、兄が大好きだった星を学ぶために、この学校に来たんだ。

それに…星を眺めてると……お兄ちゃんに見守られている感じがするんだ…



「…それが真稀の目的?」


「うん、記憶を戻す」


「そっか………」


「落ち着いたか?真稀」


真稀は琥太郎から体を離した。


「ありがと…琥太ちゃん」


そう言って微笑んだ真稀の笑顔はとても綺麗で、それを見た二人は赤面状態…


「…っ\\\\………なら俺は行くぞ」


琥太郎は真稀を梓に預け、さっさと入り口から出ていった。


「……よしっ、そんじゃ後夜祭行きますか!」


立ち上がった真稀の手を握り、梓も立つ。


にこりと笑う真稀に梓も笑顔を見せた。


そうして、二人は手を繋いだまま、後夜祭に戻っていった。











































あとがき*☆*:;;;:*☆*:;;;:


「矛盾してる」・・・?


ノーセンキュー!!


過去の時間軸とか、過去捏造とか、


あははははだし。


これこそ夢小説の醍醐味だしぃっ♪