第四夜 弓道部☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*
「あーーーー!真稀っ」
そーっと見学しようとしてたのに、梓に早速見つかってしまった。
仕方がないので部長に掛け合おう。
「梓ー部長いる??」
「あ、何だ、僕に会いに来てくれたんじゃないんだぁ」
「はいはい、・・・でいる?」
「今呼んでくるよ」
もう、なんですぐ調子に乗るかなぁ。
ま、梓らしいっちゃらしいんだけどね。
「こんにちは、君が真稀ちゃん?」
声のした方に向くと優しそうな人がいた。
わぁ・・・背、高い・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うらやましい。。。。
「真、真稀ちゃん?」
・・・・・・・ハッいけない。ってまたこのパターンかい(←
「はい、不知火真稀です」
「不知火・・・一樹くんの妹さん?」
「は・・・はい・・・そうですけど・・・」
何で知ってるんだろ?
「そりゃぁ、一樹くんと木ノ瀬が言ってたからね」
あの二人かww
で、この人は部長さんなんだろうか(そうでしょ
「あ、僕は金久保誉って言います。西洋占星術科三年です。
分かるとおもうけど、弓道部の部長です。宜しくね、真稀ちゃん」
そしてニコッと笑う。
・・・・・・笑い方が、あの人に似ていた。
思い出したくないー・・・
この感情は、吐き気がするほどいやだ。
「・・・ッぅ!」
「!?真稀!?大丈夫!?」
きつくなってしゃがみ込むと梓が道場から飛び出してきた。
「真稀ちゃん、大丈夫!!」
「ぅ・・・あ、ず、さァ・・・ッ」
「真稀ッ!!」
ぎゅ、と抱きしめてくれる梓。
ーーーーーーーーあぁ、私はこの腕があるだけでいい。
そう思えると発作もだいぶ落ち着いてきた。
「真稀・・・大丈夫?」
「大丈夫・・・だよ。もう収まった」
心配そうな、泣きそうな、梓の表情を見ると
大丈夫だよって・・・
心配しないでって・・・
嫌でも言いたくなる。・・・そんな表情だった。
金久保先輩もオロオロしていて、あぁ、心配かけたな、と
心が痛む。
「真稀・・・保健室行こう」
「・・・・・・・・・」
「真稀?」
行きたくない、そう答えようとするが声が出ない。
かわりに梓に抱きついた。
そうすると自然と声が出た。
「行きたくない・・・」
「真稀・・・」
ぎゅ、と抱きしめ返してくれる。
なんて心地よいのだろうか。
「真稀ちゃん、一樹くん呼んでくるから」
「・・・部長」
「木ノ瀬は、真稀ちゃんのそばにいてあげて」
「・・・・・・・はい、お願いします」
金久保先輩は颯爽と走っていった。
梓と私にしばしの沈黙が流れる。
「「・・・真(あず」」
・・・声が重なって、ニコッと微笑み合った。
「梓・・・心配かけてごめん・・・ね・・・」
「なんであやまるのさ」
「迷惑かけて・・・ごめッ」
自分が情けなさ過ぎて涙が出てくる。
私が泣くことなんて、あの日から毎日見ている
夢におびえ、泣くくらいだった。
梓は抱きしめる腕に再び力を入れる。
「なんで・・・なんで、迷惑になるんだよ・・・ッ」
声が少し震えている。
梓・・・・・・私の為に泣いてくれるの・・・?
そう・・・うぬぼれてていいの?
その迷いが明確になる。
・・・・・梓の目からは一筋の涙が伝っていた。
「いつもッ・・・いつもッ・・・真稀はッ」
悔しそうに言葉を吐き出す。
「一人で・・・苦しんでるのに・・ッ、ずっとそばにいた俺たちが・・・ッ
気づかなくって・・・・・・情けないッ」
何で・・・?どうして・・・?
なんで梓が情けないと思うの?
私は・・・・・・少なくとも二人が・・・梓がそばにいてくれたから、
あの人のことを忘れることができた。
・・・・・・・・・・
そうか。
君は・・・
私に頼って・・・ほしかったんだね・・・
「梓・・・私ね・・・いつも怖い夢を見るの・・・
それはここにくるまで続いてた・・・今も続いてる・・・
でもね、ここにきて・・・梓や翼・・・一兄・・・
羊・・・皆がいてくれたから、乗り切れたんだよ。
それに・・・今、気づいてくれたじゃない?
私が悩んで・・・苦しんでいたこと・・・無理してたのが・・・、
もうバレちゃったんだね・・・
頼りたかった・・・でも。
頼りすぎて・・・離れていくのが怖かったのッ」
もう、本音を言ってしまいたい。
助けてって・・・
私のことを・・・
裏切らないで・・・
力をこめたのがわかった。
この力強さに、今、救われたのだ・・・
「・・・梓ッ私から・・・離れないでッ・・・」
「・・・当たり前じゃん・・・ッ離れてやんないよ・・・ッ」
お互いを確認しあうかのように抱き合う。
ワタシハズットヒトリ
アノヒトハワタシカラハナレテシマッタ
ダカラヒトニタヨッテハイケナイ
ヒトリデアルクトキメタンダカラ
・・・・・・今まではそう生きてきた。
でも、梓は離れていかないと、そう・・・言ってくれた。
私の為に涙を流してくれた。
ワタシハヒトリジャナイ
ツライトキハタヨッテイイ
ヨワネヲハイテモイイ
タダ・・・コノヒトノウデノナカデ、ナコウ
「梓・・・ありがとう」
そういうと梓は微笑んだ。
私も微笑み返す。
ずっと・・・ずっと・・・抱き合っていた。
しばらくすると、一兄が息を切らして私のところへ駆け寄った。
「真稀!!」
梓はスッと私のところからいなくなり、かわりに一兄が
力強く抱き寄せてくれた。
「・・・大丈夫、心配しないで」
星詠みの力があるのにもかかわらず、この事態に気づけなくって
情けない・・・大方、そうだろう。
血がつながってないせいもあってか、カナリ心配性な一兄は
ずっと・・・ずっと・・・私のことを抱きしめていた。
まるで、割れ物を触るかのように・・・
「・・・本当に大丈夫なのか」
「大丈夫だよ」
精一杯明るい声で話す。
表面では強がりな私。
でも・・・本当は違うの。
・・・・・・だれか、本当の私を見つけて。
そして尋ねてみたい。
「私は幸せですか」
なんて返ってくるのだろう。
今、確信した。
この匂い・・・
あの腕の中・・・
それが私の生きる糧となる。
とりあえず今は・・・
あの人を・・・つらい思いを・・・忘れさせてください・・・・・・・・・・
あとがき*☆*:;;;:*☆*:;;;:
シリアス真っ只中ですね・・・
あの人とは・・・!?
真稀って誰とくっつくんだろー?