第4話      小学校へ入学して

 

やがて文恵(ふみえ)は、人間の言葉を徐々に話せるように日常会話レベルまで話せるようになりました。


母さんゴリラも人間になってようやく文恵の行方を捜し終えたところで親娘2人の生活が始まりました。

申し遅れましが、文恵のお母さんは将来文恵と同じ学校で用務員として20年以上勤め上げ、多くの退職金をもらったという稀なオバさんになりました。

 


 

さて、文恵はここ学校のと廊下をトコトコ歩いていました。

実はその日が文恵の入学日です。

前を歩いているのは文恵の担任になる鬼瓦ケ先生といって、点々眉毛に富士山型のへの字口でモジャモジャ髪といったいかにも偏屈そうな先生です。

 


教室に入り先生が「えー、今日から1年1組の仲間になった●●文恵くんだ。皆んなも仲良くしてあげたまえ。さぁ、●●くん、自己紹介を。」

「●●文恵です。どうぞ、よろしくお願いします。」と文恵が自己紹介した後、

教室中はドッと笑い声でいっぱいになりました。

無理もありません。文恵はもうゴリラ時代の美しい声ではなくペリカンのような変な声なのですから。

 

月日が経ち、文恵もクラスのみんなと溶け込めるようになったかと思ったらそうではなうのです。

友達も出来ず一人でいました。

男の子達からは「やーい、やーい、ゴーリラ、ゴリラ!」と言われ虐められていたのです。

さらに先生までも文恵に対し冷ややかな目で見るのでした。

算数の時間のことです。

先生が黒板に【3+5=】と書き

「●●くん!この答えは何かね?」と尋ねました。

もちろん文恵はかつて、ゴリラの世界にいたので言葉は理解できても字は全く読めません。

「えっと・・・あの・・・なんて書いてあるんですか?字が読めないんです。」

先生はカンカンになって怒り出しました。

「●●くん、君はワシをバカにしとるのかね?この字が読めんとはどういうことだ!

廊下に立って頭でも冷やしてきなさい!」

 

「でも、先生、本当にワタシ読めないんです!」

「バカモン!まだそんな事を言いよる!早く廊下に立ってなさい!」

文恵は泣きそうになるのを堪え、俯きながら廊下に行く途中、クラスのみんなは一斉に笑い出しました。

それからというもの文恵の学校生活は孤独で悲しい日々を送るのでした。