お金(1)仕事とお金 | 風天たあこのブログ
以前津留晃一氏から「心からしたいことだけを楽しくやっていると、必要なお金は必要なだけ入ってきますよ。」と言われ、その言葉を信じたわけではなかったけれど、やりたい仕事ややれる仕事が見つからず、流れのままに読書三昧に入ってしまいました。

夫の他界後になると、怒濤のように霊能者系怪しい系人物の訪問を受け始め、居候者たちに振り回される日々が始まってしまいました。彼らに三度の食事を用意し、眠る場を与えるという降って湧いたような日常生活はオドロキの連続でしたから、それなりに楽しいものでした。

観客は私だけでSF、ファンタジードラマを、特等席で観賞しているようなものです。時には20人くらいの怪しい系青年男女が泊り込んだり・・・。毎日が祭りや宴では体力的に疲れてきますし、一人になる時間が欲しくなったりで「私、しばらく家出します。後はよろしく。」という馬鹿馬鹿しいこともありました。

そんな生活でいよいよお金も無くなり、さて困ったなと感じ始めた頃、「取締役として仕事をしてもらえないか」という話が飛び込んできました。年俸は2,000万円という申し出でした。この企業は業界では有名な悪質営業を展開していましたので、お断りをしたのですが、断っても断っても「社員総会を見にきてほしい」「FCの説明会を開くので、是非その流れを見て欲しい」「このままでは駄目だと思う。正当なサロンに生まれ変わりたいので助けて欲しい。」など次々と誘いの手が続きますので、ともかく現実を見せてもらうことにしました。

FC説明会ではうんざりしました。某大手商社を巻き込んでの薬局業体変革の進めでした。感想を聞かれましたので、「プレゼンテーションはすばらしいと思いますが、顔がありません。顔のないヴィジョンをお手伝いすることは出来ません。」と答えました。

店長会に呼ばれた時には、社長の話を聞きながらメモ帳に「張子の虎」と書いてしまいました。外側は一見強そうですが、中身が空っぽだと感じたのです。そして店長たちの発言はその場だけの言葉であり、言わされているだけだということがすぐに解ってしまいます。営業重視のどの企業でもやっている馴れ合いゲームです。本当の事など誰も語っていません。ほとんどの店長の懐には「辞表」が既に用意されていることさえ見えてきました。

箱根で開かれた社員総会に呼ばれた時、600人くらいいたでしょうか?エステティシャンたちを前にして、取締役たちが壇上で売り上げ低下を責めています。社長のスピーチが終わった後、急に「濱口先生からも何か一言お願いします。」と言われ、

「皆さん、良く頑張って働いてくださっているようですね。本当にご苦労様でした。この場に座っている取締役に成り代わりまして皆様の労をねぎらい、感謝いたします。ありがとうございます。取締役の皆様は是非この壇上から降りてくださいませんか?そして社員の皆様は壇上に上がってください。私には皆様の立場が逆に見えています。先ほどより売り上げ低下についてその責任の追及がなされていたようですが、責任は社員の皆様ではなく、社長及び取締役の方たちにこそあると思います。何を威張って皆様を責める資格があるというのでしょう。社員の皆様は精一杯のお仕事をされたはずです。

今日ここにこれだけ盛大な総会が開けていることは、皆様の成果だと思います。皆様がここに居るからこの会社は存在しています。皆様がいなければ、この会社などありません。自信を持って楽しくお仕事に励んでくださいね。社長及び取締役の皆様は彼女たちの仕事を正しく評価して、自分たちの怠慢や偽善を反省なさって欲しいと思います。」

スピーチを前もって頼まれていたわけではないので、こんなことを言うつもりはなかったのですが、スピーチ台に立ったら勝手に言葉が出てしまいました。でも感じたままの言葉ですから、私に負い目はありませんでした。それよりも打ち沈んでいた会場がにわかにエネルギーを取り戻し、彼女たちが伏せていた顔を上げ、笑顔になる人、涙を流す人、隣の人と握手をする人などで一気に華やかさが広がっていったことの方が嬉しかったのです。動揺を押さえ込んでいる壇上の重い波動に包まれた席に、私は笑顔で戻って行きました。

これでお誘いは終わるだろうと思っていたのですが、「だからこそ是非にも、お力を貸してください。」とのアプローチがありましたし、宴会の席で彼女たちの真剣な目(ホンモノのエステティシャンになりたい。今やっていることに自信が持てない。本当の理論と技術を学びたいという訴え)に接してしまい、取締りにはなる気はありませんが彼女たちの素直で真剣な気持ちには応えてあげたくなり、週3日だけで良いならと顧問を引き受ける事になりました。

この会社から求められたのは教育部に所属する教師たちの再教育でした。ともかくこれでお金は入ってくることになりましたが、教師たちに会って自己紹介などをしている時、口にこそ出さないけれど10数名の教師全員の胸にも、「辞表」が用意されている様子がありありと見て取れます。

重役会議に参加して、「売り上げの向上を望むなら、これまでの欲だけを増長させている社内文化を一掃し、社員一人一人がこの会社で働くことが悦びであり、自尊の念を持てるような新たな文化を構築する必要があります。社員の流動性の激しさは、そのことを物語っています。社員が安心して楽しく働ける環境作りの第一歩として人材育成を最優先されること。

そのためには社員の教育システムを作成し全員に発表すること(全員に希望を与えることが目的です)、新入社員の教育プログラムに現在のスタッフからもローテーションを組んで参入させること、社内文化の定着のためには新人を含めた全スタッフの意識統一と段階的な教育プログラムの実施には3年かかると思われますので、その間は多少の売り上げ低下や伸び悩みがあるように見えても、耐えられるよう経営陣の努力を必要とすること、3年後からは確実に安定成長の期間に入れることなどを説明しましたが、経営陣の男たちには覇気のある人がいない。ワンマンオーナー兼社長の顔色を伺っている「イエスマン」ばかりで保身に明け暮れている人たちばかり。

彼らの話を聞いているうちに、そのほかにもたくさんの病巣が見えてきました。現場の意識変革がある程度功を奏してきたら、管理部門にも手を入れていく必要がありそうです。自分の収入確保にしか目が届いていませんから、誰も全体を見ていないのです。法人も個人と同じで部分で生きているのではなく全体で生きているのに、我欲がらみの対症療法に明け暮れている実態を前に途方に暮れました。

オーナー兼社長から呼び出しがかかりました。「3年は長すぎる。半年、いや3ヶ月でやって欲しい。」「御社の規模が小さければ可能かもしれませんが、現在600人の現場スタッフがいて、更に毎月可能な限り人を採用していらっしゃいます。新人たちの定着を図りながら、現在のスタッフ一人一人に芯を吹き込んでいくことはそんなに簡単なことではありません。人はマシーンではないのです。マシーンの修理・点検なら3ヶ月でも出来るでしょう。その考え方が今日の状態を生み出していると気づいてください。それとも営業を全面的にストップして教育だけに集中させていただけますか?出来ないでしょう?我欲、疑い、不信が取締役をはじめとして全社員に広がっています。仕事に対する情熱、自信、そして信頼しあえる仲間が全体の半数近くまで揃うのに時間がかかります。それを3ヶ月で出来る人がいらっしゃるなら、その人に頼んでください。私にはそんな能力はありませんし、責任のもてない仕事はやるつもりもありません。」折り合いはつかないまま、私の教育はスタートしていくこととなった。

教師たちへの教育をスタートしようとしたが、相変わらずバラバラだし、心の不安定な彼女たちを前にして、理論や技術を教える前に「仕事とは何か?」「何故人は仕事をするのか?」「仕事としてエステティックを選んだ理由は?」「エステティックとは何を追及する場なのか?」「あなたにとってのエステティックとは?」というところから始めなければいけない状態でした。
こうした意識の共有、言語の統一という最初のステップは、この企業にとっては余計なこと(短期促成栽培で、ともかくお金を生み出すマシーンにして欲しいというのが経営陣の考え方でした)のようでしたが、私は責任を持って仕事に望む以上、ここを避けては前に進めません。意識の共有、言語の統一が出来れば、理論や技術はすぐにカバーできることです。大切な「基本姿勢」からの話し合い、学習を始めてしまいました。

特に「教師」となる人には大切な意識の学習があります。
知識が身についてくると、自分が偉くなったような錯覚をしてしまいがちです。謙虚さを失わないよう、学んでくださる人がいるから教師でいることが出来るということ。教えるという行為を通じて自分の不確かな箇所を見つけ出すことが出来ます。教える事は教えられることです。慢心しないで、常に自己学習を怠らないこと。教えさせてもらうことで教える悦びが味わえるということ。それが自尊の念を育ててくれる最大の報酬であるということ。そして教師冥利に尽きるのは生徒が自分を越してくれた時であること。無償の愛を実践することが大切で、自分を守ろうとして生徒を押さえ込むことのないように、また見返りを求めないように自己点検することの大切さを伝え、全員に「無償の愛」と書いてもらったりしていました。

ところが私の不徳で、「濱口さんは宗教をやっている」とされてしまい、抗弁する気もおきませんでしたので、その時この企業とは別れてしまいました。
それでも有り難いことに、この会社から月90万円頂きましたので、しばらく家計の足しになりました。

私は仕事とは自分の愛を形にすることと思っています。
生活費を賄うためだけに働くことはストレスを増大させ、心身の不調を引き寄せます。どんな仕事であっても、義務感でやる行為と愛をもってやる行為では、見た目は同じようであっても内容が異なりますので、本人と周囲に与える影響は天地の開きほどにも異なってきます。目先の利益だけを追う仕事は、最初は順調に進んでいるように見えても、自分と周囲の両方をじわじわと崩壊させていくと思います。目先の利益ではなく、自分を信じて愛のある仕事を誠実に楽しく実践していけば、そのエネルギーは廻りまわってお金を運んできてくれるようです。

私は単なる主婦でしかありません。特別に経営学などを学んだことも無いのに、元金80万円でスタートしたビジネスが年商30億円にまで拡大していったのは、自分を信じていましたし、楽しかったからだと思っています。お金のことなど憂うことなく、日々嬉しく一心不乱に仕事をしていたら、勝手にお金が付いてきたって感じでした。

確保するお金の多寡を追うよりも、自分を信じ、自分の魂(良心)に嘘をつかない生き方をしていれば、必要なお金は必ず廻りまわってやってくるものだということを今も体験し続けています。自分が発振したエネルギーがそのままに帰ってきます。

人を幸せにしたいという想いで発振したエネルギーであろうとも、そこに自我や欲が絡んでいると、帰って来るエネルギーは歪んだものとなるようです。ですから自分が今日体験している事象は、とても大切なメッセージなのです。自分にとって不調和なエネルギーが来ているなら、それは自分の発振したエネルギーが不調和だったからでしょう。そこで気づいて軌道修正をしていけば、その答えもすぐにわかることでしょう。

もちろん毎日調和のエネルギーを受け取っていらっしゃる方は、自分が発振したエネルギーが宇宙の意識と意志に調和しているということでしょう。

日々発生してくる事象こそが、私たちの物差しなのだと思います。

私は自分の信じるやり方しか出来ませんし、私と同じ思想を持っている経営者を見つけることは困難ですので、自分のやりたいことだけを中心に生きる生活に再度入ってしまいました。無一文への楽しい生活です。