しばらく更新しないうちに年があけて、もう2月になってました(^_^;)
今年も宜しくお願い致します。
インフルエンザ流行してきましたね。
そんな中、1月末に日本小児科学会から
2013/2014シーズンのインフルエンザ治療指針がでました。
その内容を含めて記事を書きました。
治療指針の本文がみたい方は小児科学会のHPからみてくださいね。
【今シーズン流行しているインフルエンザは?】
今シーズンは2009/2010年に流行したA(H1N1)pdm09の割合が急増しています。
A(H1N1)pdm09は2011年に季節性インフルエンザに移行しましたが
2009年当時は新型インフルエンザといわれていたものです。
(懐かしいです・・・。このブログで記事にしてた頃かな)
昨シーズンまでは従来の季節性インフルエンザ(A香港型、B型)がメインでしたが、
今シーズン(2013/2014)は上記2つ+A(H1N1)pdm09の3つが混在した流行のようです。
(ちなみに2009年のときは、ほぼA(H1N1)pdm09単独の流行でした。)
【今シーズンの小児インフルエンザでの注意点は?】
2009年以前は季節性インフルエンザA型の合併症として
小児では脳炎・脳症、高齢者は肺炎が問題となることが多かったのですが
2009/2010年にA(H1N1)pdm09が流行したときに問題となったのは
小児の重症肺炎の合併が多かったということです。
ということは、A(H1N1)pdm09の割合が増えている今シーズンは
再び酸素投与や入院が必要な重症肺炎が増える可能性があるということです。
2009/2010シーズンでは、基礎疾患に喘息などアレルギー疾患をもつ小児が
重症肺炎のリスクが高いとされていたので、今シーズンも注意すべきだと思います。
【2009/2010シーズンと今シーズンのちがいは?】
●前回(2009/2010)の小学校・中学校を主体とした大きな流行とは異なり
(今シーズンは)10歳未満の年齢層が主体となる可能性が高いこと
が治療指針にあげられています。
2013/2014シーズンは低年齢の児の重症肺炎にも注意が必要かもしれないです。
また、2009/2010年は従来の季節性インフルエンザと新型インフルエンザは
脳症の割合は差がなかったようですが、
今シーズン、低年齢層に流行が増えていった場合、
脳症の合併が増えないかということが個人的に心配しています。
【インフルエンザワクチンは有効なのか?】
今のインフルエンザワクチンは、発症阻止効果には限界があるのですが
重症化予防効果はあるとされていました。
今回の治療指針でもワクチン接種が推奨されています。
【けっきょく治療はどうすればよいか?】
タミフル耐性のインフルエンザウイルスの報告はありますが数も多くなく限定的であり
現時点では、これまでの診療方針に大幅な修正は必要ないと考えられています。
まず、インフルエンザの大前提は自然軽快する病気であるということです。
よって、抗インフルエンザ薬は絶対に必要というわけではありません。
耐性ウイルスでも発熱が遷延しますが基本的には治っていきます。
一方で、流行するウイルス型、患者の年齢層、患者の基礎疾患、
小児・妊婦・高齢者などインフルエンザの流行・重症化に影響する因子は
数多くあり、患者さんの重症度も様々です。
従来の季節性インフルエンザでは抗インフルエンザ薬の有効性は
発熱する期間の短縮など限定的でした。
しかし、2009/2010年に流行したA(H1N1)pdm09のときには
抗インフルエンザ薬の早期投与による重症化予防効果が示されています。
外来での治療指針の記載をみると
●幼児や基礎疾患がある患者や呼吸器症状(咳など)が強い患者には投与が推奨される。
●発症後48時間以内の使用が原則であるが、重症化のリスクが高く症状が遷延する場合は
発症後48時間以上を経過していても投与を考慮する。
●基礎疾患を有さない患者であっても、症状出現から48時間以内に
インフルエンザと診断された場合は各医師の判断で投与を考慮する。
● 一方で、多くは自然軽快する疾患でもあり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではない。
結局、抗インフルエンザ薬を処方するかどうかの判断は現場の医師に任せられているのです(゜o゜)
治療の選択肢を患者さん・家族に説明し
希望をふまえて納得がいく治療を選択するパターンが多いかもしれません。
現在は内服薬のタミフル、吸入薬のリレンザとイナビル
注射薬のラピアクタの4種類から選択することになります。
(分かりやすいように商品名で記載しました。)
治療指針では注射薬のラピアクタは積極的に外来使用を推奨しないとなっています。
これは注射薬がダメというより、他の3剤で大丈夫という意味合いでしょう。
(他の3剤の使用が困難な時には考慮。もちろん入院患者は別です。)
これまでの1歳未満のインフルエンザの治療方針は、
原則タミフルは処方しないというものだったと思います。
(2009年の新型インフルエンザ流行時は特別に1歳未満にも処方していましたが)
親の同意を得て処方する医師もいたと思いますが、原則は上記かな。
しかし、2013/2014シーズン外来治療指針をみると
●新生児期~乳児期早期(生後6か月まで)
→症状のある児にはタミフルの投与を考慮。
●乳児期後期(7か月から11か月)
→添付文書には記載はないが、安全性のデータが蓄積されてきており、
十分な説明を行った上で、投与を考慮することが必要。
●幼児(1歳~4歳)
→タミフル推奨。
●幼児(5歳~9歳)
→タミフル推奨。吸入薬は吸入ができる場合に限定。
●10歳以上
→吸入薬(リレンザとイナビル)を推奨。タミフルは原則として控える。
●呼吸器症状が強い・呼吸器疾患のある場合→タミフル推奨。吸入薬は要注意。
(個人的には症状ひどい場合は点滴や入院考慮してもよいかなと考えちゃいます)
となっており、2013/2014シーズンは全体的にみると1歳未満を含め
抗インフルエンザ薬の早期使用を推奨しているようにも解釈できます。
添付文書や製薬会社は1歳未満へのタミフルの使用OKというスタンスではないので
結局、現場の医師に判断がゆだねられているのが現実です。
あくまで、かかりつけの先生と相談して治療を決めるとは思いますが
このような内容を知っておくと参考にはなるかと思い記事にしました。
いろいろと思うところはありますが、マスク・手洗い・うがいで
できる限り予防することが大事だと思います。
お互い、インフルエンザにかからないようにしたいですね(^^)
長文になってしまい申し訳ありませんでした。
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