ロタウイルスのワクチンが、当院でも、ついに開始となりました。

経口(飲むタイプ、シロップ)で、弱毒生ワクチン(ウイルスを弱らせて感染しても症状がでないようにしたもの)


生後6週から生後24週(6か月)までの間に、4週以上の間隔をあけて2回接種を完了させるスケジュールです。


ロタウイルス感染の重症化(あとで詳しく)約90%予防するといわれており、



【効果は少なくとも2歳までは持続する】ことが確認されています。

製薬会社に確認すると、効果のある時期として3歳までは報告があるようです。
【ロタウイルスの重症化は2歳未満など低年齢の子に多い】ので、これだけでも効果は大きいです。

特に【兄や姉など上の子がいると、保育園や幼稚園からもらってくる】ので

【このワクチンで小さな弟や妹を守る】のは効果的だと思います。

ただし、任意接種なので有料です。1回12000-13000円(当院)・・・。

ここで【ロタウイルスの説明】です。

ノロウイルスなどと並んで、小児の嘔吐下痢症(胃腸炎)の原因として、有名なウイルスです。

便の迅速検査があり、外来でしらべることが可能です。


多くの人は、小学校に入るまでに一度はロタウイルスに感染して、免疫が出来るのですが、この免疫は一生続くわけではなく、大人でもかかります。



ただし、感染して問題になるのは重症化する場合です。

このウイルスで【脳症】になることもあるのですが、重症化で多いパターンは、

【ロタウイルス性腸炎→ひどい嘔吐や下痢→点滴が必要なほどの脱水(→入院)】。

ただし、日本は、諸外国に比べ、比較的すぐに病院受診でき、点滴を行うことができる環境なので命が危険になるというよりもロタウイルス性腸炎で問題になるのは、

【胃腸炎によって保育園を休まないといけない】
親は仕事を休まないといけなくなる】など親の負担です。

病院で点滴を行う必要が少なくなるので、医療費はもちろん、
病院スタッフの労力、患者さんの待ち時間にも関係するかもしれません。
(もちろん、脳症や重度の脱水になれば、命の危険もあるかも・・・)


つまり同じワクチンでも、命に関わる重症な細菌性髄膜炎を防ぐための

ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンとは少し目的が違うのです。


さて、新しいワクチンが始まると、気になるのは安全性、つまり副反応だと思います。


国内臨床試験で、接種後30日間に報告された主な副反応は(多い順)

 易刺激性(ぐずり)7.3%、下痢 3.5%、咳嗽・鼻漏 3.3%

 食欲減退 1.7%、嘔吐 1.5%、発熱  1.3%



嘔吐は飲んですぐだと、もう1回飲まないといけないのですが、高価なんですよね



製薬会社にも確認して当院では、10分を目安に、それを超えれば嘔吐しても再度接種はしないことになりそうです。結局は医師の判断なのですが・・・。


もう一つ、このワクチンの注意書きにでてくるワードは

腸重積(腸が腸にはまりこんで、嘔吐・腹痛・血便を起こす疾患)です。


【過剰に心配しないでくださいね】っと先に書いておきます。

このワクチンは世界中で接種されており【安全性は高い】といえます。

論文でもロタリックス接種で腸重積は増加しないと報告があります。


ここで昔話を一つ。1998年にロタシールドという初代ロタウイルスのワクチンが

海外で開始となりましたが、1万人1人ほどの割合で腸重積を起こすということで

1年ほどで販売中止&接種中止となってしまいました。


この流れもあって、今回のロタリックスについても、腸重積になったことがある場合などは接種しないというようになっています。

ロタリックスは【生後6週から接種可能】であり、他のワクチンに比べると【開始時期が早い】です。

それは、初代ワクチンであるロタシールド(昔に中止になったワクチン)の、初回接種が生後60日以降のときに、腸重積の副反応の発症が増加したというデータが根拠なのだと聞きました。(ロタリックスの初回接種時期ではないですよ!)

そもそも腸重積の半分以上は1歳未満の乳児に起こるのですが

生後3か月(生後12週)未満の発症は1%未満と非常に少ないのです。

ロタリックスの国内臨床試験も生後6週~14週の乳児で行われています。

【早めの接種がより安全なのかもしれません。】


基本的には、接種期間を守れば、腸重積は心配ないと思われます。


ただし、自然にロタウイルス腸炎になったときでも腸重積になることはありえるので
腸重積のことは、頭の片隅にいれておいて、心配な症状(頻回に吐く・血便など)があれば電話相談するとよいかもしれません。

長文になってスミマセン。スケジュールについては次回。



1日1回の応援クリックお願いします。
人気ブログランキングへ

人気ブログランキングへ