今春のTBS日曜劇場が、なんと「マイファミリー」という、バリバリの誘拐ドラマで、「へえ」と思いながら見始めたのですが、これがちょっと面白くて。

誘拐だけで全10話?12話?なんてもつ?それどころか、初回90分スペシャルでさえ、「誘拐だけでそんなにもつ?」と心配したけど、いやいや、そこはTBSさんもいろいろ考え尽くしていて、あっという間に見れたんですよねえ。面白かった。身代金目的の誘拐ドラマって、大体同じ絵づらになっちゃうし、そもそも、現実的には「もっとも成功率の低い犯罪」といわれてるように、まず、成功しない犯罪だということが世間に広まってますからね。「いまどき、誘拐ドラマって・・・」て思ってる人多いと思うんですよ。そこをあえてやるんだから自信あるんでしょうね。

ま、私は、妻役の多部未華子さんのファンなので、とりあえず、これは最後まで見るつもり。令和の誘拐ドラマとして、新たな展開を期待しております!

 

で。誘拐といえば。

「そういえば、「あいつの声」ってまだ見てなかった」と思い出し、この機会に見てみました。ずっとずっと見たかったやつ!

「あいつの声」は、1991年に韓国で実際に起きた誘拐事件で、2006年に未解決のまま時効を迎えました。時効直後に映画化されたのが「あいつの声」で、いろいろと脚色が多いといわれながらも、犯人のやり方などはそのまま再現されているそう。なんつっても、最後の最後は、実際に犯人がかけてきた電話の声をそのまま流れるんですから。ちょっとそれは驚きました。もし当時、韓国の人が劇場で見てたらびっくりしただろうと思う。心当たりの方は近くの警察まで。というのが目的で、少しでも犯人検挙に役立てたいという気持ちが胸に迫りました。

主演は、すっごく若い!頃のソル・ギョングさんで、国民的人気のニュースキャスター。(実際とは違うらしい)

その息子9歳が誘拐されるんですが、すっごく太ってる子供なんです。母親がダイエットさせてるのが、やけにリアルで、いたいけなんです。父親は誘拐されてからずっとニュース番組を休んでたんですが、身代金を渡したあと、息子の遺体が山で見つかってから、番組に復帰。その日のトップニュースが、当たり前ですが、自身の息子の誘拐事件と遺体発見というニュース。それを自分で読み上げるうち、たまらなくって、大号泣〜〜〜〜の放送となるんですよね。上(ディレクター室)では、放送事故になりかねないから止めようとするものの、ディレクターの意志で放送を続行。それはそれはかわいそうなニュースの時間になりました。男の人がしかも、ああいう仕事のああいう格好してる人が、これでもかってくらいぐちゃぐちゃに泣きながら叫んで放送するという、、、もうほんとに泣ける。そんなもん見せられたら誰もが泣いちゃいます。ほんとかわいそうだった。

 

最近まで、韓国三代未解決事件の1つでしたが、名作「殺人の追憶」の元事件の犯人が、時効後確定したので、今は二大未解決事件。こっちも見つかるといいですね。

 

映画「あいつの声」はね、いくら昔の事件とはいえ、

ほんとにこんなこというと悪いけど、

や・・・・・・っぱり、警察の捜査が甘いと思っちゃいました。これまでいろんなドラマを見ても、それ思うことがすごく多いんですけど、特に、この映画はほんとにそう思った。もうちょっとなんとかできたなんじゃないの?って。

映画では、87回も犯人が電話してきたといってた。何ヶ月もの間に。2回用意した身代金は簡単に奪われてましたし。それなのに、全然手がかりもなく。お金の入ったバッグに信号機を仕込んどくとかなんとか、それくらいは、いくら昔でもしてるだろうと思ったけど、全然そんなことしてないし。あと、犯人が運転する車のトランクに刑事が乗ってたにもかかわらず、犯人を捕まえるどころか、顔もみてないという。。。それはやはり大失態だと思っちゃう。

しかし、三大未解決とかいうくらいだったので、ほかの誘拐事件は全部解決済らしい。これだけ。どうしてもこれだけ犯人がわからなかった、と。そう思うと、韓国警察も優秀なんだなと思うけど、その唯一の未解決がこれか。。。と思わずにいれないってことですよ!

そして、我がニッポンの実話、「64(ロクヨン)」と同じく、実際には、誘拐直後、すぐに子供は殺害されていたということです。最初に殺害したにもかかわらず、その後、ずっと生きてると嘘をついて、両親と取引をして、挙げ句、身代金を巻き上げてるのです。3億円事件もそうだけど、ああいうお金って、1枚でも使ったらすぐばれるので、結局、使えないんでしょ? 使えない大金がそんなに手元にあってどうしてるんだろう。目的はお金じゃなくて、親を悲しませること? なんなんだろう。そう考えると、身代金誘拐ってほんとによくわからない。

 

ということで、いろいろ思うものの、結果として、

「あいつの声」という作品としての映画は、あんなにオーソドックスで、あんなに古式騒然として、あんなに手垢つきまくった描写しかしてない誘拐映画なのに、ぜーーーーーーんぜん退屈しない。あっという間に全部見てしまう。

ということに逆に驚きました。

2007年、つまり、15年前の映画でも、なんのひねりがなくても退屈せず見れるってことは、「マイファミリー」も、別にそんなに新しいネタとかなくても、10話くらい面白く見れちゃうのかも。マイファミリーっつってんだから、なんかこう、ヒューマンな感じがするし。

 

こないだ、主演の二宮和也さんが「誰が犯人なのか全然教えてもらってない状態でどんどん撮影してる」って仰ってました。てことは、登場人物の誰か、あるいはその知り合いという範疇に犯人がいるんだなと思って、それだけでも面白く見れそうじゃないですか。やっぱり、最後まで飽きずに見れそう。