朝のお迎えに行くと、
毎回彼女の部屋は、ひどい尿臭がする。
彼女自身の衣類や荷物に、汚染は見当たらない。
臭いの出どころが分からないまま、
ご機嫌な彼女をデイサービスにお連れする。
自分では気が付かないのかなぁ?
思いつつも、本人には言わない。
彼女は認知症の進行で、尿意がなく、
いつもリハビリパンツを着用している。
そんな日々が続いていた、ある日、
デイサービスに行く荷物の準備をしていたとき、
下着をしまっているタンスの中から、
臭いの出どころが見つかった。
尿をたっぷり吸い込んだリハビリパンツだ。
彼女は使い捨てのリハビリパンツと、
普通の布パンツの違いが分からない。
ぬれたパンツを、恥ずかしいと思って
タンスに隠したのかもしれない。
最近のリハビリパンツは、肌触りが良くて、
認知症の方には、ますます布のパンツとの違いが
分からなくなってしまうのかもしれない。