哀れな猿まわし | Tenking Life

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Tenkiの何気ない日常を綴っています。

昨日、母を連れて有馬温泉に行ってきた。
一日早かったが、敬老の日のプレゼントだ。
有馬温泉は意外と近く、自宅から1時間と少しで行ける。このぐらいの移動時間で、かの有馬温泉に入れるのか…ということを知って以来、夕方から出て有馬温泉に浸かり、どこかで食事をしてくるというコースが、母と私のプチリフレッシュのちょっとしたブームだ。

昨日は連休中で温泉街の2km手前あたりから大渋滞しており、その2kmに1時間半かかってしまった。
とは言え、出発がいつもより随分早かったので、何とか明るいあいだに温泉街に到着した。
せっかく明るいうちに着いたことだし…と温泉街を散策することにした。金泉やその水のみ場、炭酸せんべいのお店など、温泉街の独特の雰囲気を楽しんだ。

ふと見ると人だかりが出来ている。派手な衣装を身に着けた小猿が人だかりの中央に居た「猿まわし」だ。母と人だかりの輪に加わって、ひとしきり猿まわしを見物をした。

そうこうしている間に日も暮れかけてきたので、そろそろ温泉に入ろうか…ということになり、有馬の湯で日頃の疲れを癒した。

ゆっくり温泉に浸かりながら、さっき見た「猿まわし」のことを考えた。
「猿まわし」というのは猿にいろいろと芸をさせてみせることそのものや、猿に芸を仕込んで、みんなの前で披露させている人間の方(もしくはその職業)を呼ぶのであって、その芸をする猿自体を指す言葉ではない。

するとさっき私が見たのは「猿まわし」だったのか?
つまり「猿まわし」を職業とする、芸をする「猿(ヤマト)」を相方に持つ「猿つかい」の人の方だったのか、それともに「猿まわし」と名乗る人にまわされている(?)「猿」(ヤマトという名前らしい)だったのかということになるわけだ。答えは猿の「ヤマト」の方だ。
ということは母と見物したのは、「猿まわし」の女性とおそろいの派手な衣装を身に着けて、女性の指示通り芸をしてみせる猿、ヤマトだな。

「猿まわし」の女性は、「猿まわしにお金がかかるんです」「ご協力お願いします」と言ってヤマトと一緒に観衆に向かって何度も深々と頭を下げ、芸が終盤に近づいた頃大きなかごを持って見物料を順番に徴収した。
つまりあの女性は「私はお金のかかる女です」と言って、猿に芸をさせ、頭を下げさせてお金を集めているようなものなわけだ。

「猿(ヤマト)も「猿まわし」の女性も、何とも哀れで不憫な話ではないか。
世知辛い世の中だなぁと感じながら浸かった有馬温泉の湯は、少ししょっぱかった。