恋愛小説【俺様のナツ!!】43 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

「夏樹なら、いないよ」


私が一番知りたいことを永莉は見透かしていた。受話器ごしから、永莉の嬉しそうな顔が目に浮かぶ。


「ふふ、当たりでしょ」


「な、何がよ……」


「あんたとの付き合い、何年だと思ってんのよ。ぜーんぶお見通しっ。近所なのにわざわざ電話かけてくるのも、ね」


「い、意味わかんないよ…永莉」


「あんたはねー薫。昔っから変わらないの。聞きにくいことは全部電話してくるんだから~。久しくあたしに連絡してないことも気まずいとか思ってんでしょ!?」


図星すぎる。


「あたしは薫の芸能界行きに反対してたし余計に顔を出しにくい。そういう事情もあるんでしょ。でもね、薫……」


「ん…」



「あたしが薫のことをどれだけ心配してたかわかる?いつだって弱虫だったあんたが急に高校生デビューしたからって、弱肉強食の世界でやっていけるか、本当に心配してたんだからね。だから、嬉しいよ。無事でいてくれて」



やっぱり、電話でよかった。私の泣いた顔、すごいブスだから。私、永莉にどれだけ甘えていたんだろう。



「とにかく、元気で何より。でもね、夏樹はいないよ」


思わず受話器をぎゅっと握りしめた。「なんでいないの?」


「直接話した訳じゃないんだけど、大阪に行ったみたいだよ」


「何しに?」


「さぁ~。わかんないけど就職活動ってやつじゃない?てかあんた、東京では彼氏作らなかったの。薫ならいくらでも相手に困らないでしょ」



言い寄られることは何度かあった。ただ、好きになれそうになかった。自分のことで精一杯だったし、やっぱりどこかで夏樹と比べている自分がいた。離れてしまったけれど、ううん、離れたからこそ夏樹への想いは強くなったかもしれなかった。



過去と他人は変えられない。私は、夏樹を傷つけてしまったし、夏樹はここを立ち去ったのだ。待ってくれているなんて妄想を膨らませていた私が馬鹿なのだ。






Android携帯からの投稿