-season1-プロローグはこちら>>
目の前にあるのは本館の入り口ではなかった。地下に通じるシェルターのようにもみえた。頑強なドアを開けるよう爺さんに促され、僕は違和感を覚えながらもドアノブを回した。果たして階下に続く闇が現れ、僕は困惑した。次の瞬間、僕は背中に衝撃を感じた。そのまま階段を転がり落ちた。学生時代にのめり込んだ柔道の体さばきがなかったら、頭をしたたか打ちつけていただろう。
頭蓋骨の向こうで、類の悲鳴が聞こえた。「じいや、何もそこまで」
「怪しい輩には出ていってもらいませんと」
僕は、腰をさすりながら放り込まれたのではなく放り出された証拠を探していると、頭上から爺さんから呼びかけられた。
「嘘つきの蛮族よ、奥に進めば出口がある。二度と類の前に顔を出すな。次は警察を呼ぶ」
正門の反対側は高台になっており、僕は二階から一階に転がったのだと悟った。
階段を上がったところで施錠されただろうし、ここは大人しく退散するしかなかった。だが、僕の立てていた予想を大きく裏切られ、身も心もボロボロになったのだから、意地でも名誉を挽回しなければカレー屋としても探偵としても生きてゆけない。僕は、何か大きな事件に巻き込まれたような予感を胸に、暗闇のコンクリートから脱出したのだった。
(つづく)
この小説はフィクションであり、作品に登場する団体や個人は実在しません。