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「類はおらん!」
けんもほろろとはこのことか。老人にしては背が高いうえ、敵意むき出しにして睨まれた僕は、早くも任務を投げ出したくなった。
どうせ報酬など期待できないのだ。カレーの仕込みも終わっていない。類には悪いが、この話はなかったことにしてもらおう。
怖い爺さんは元気だったころの父を思い出してしまう。
退散だ
そう決めたにも関わらず、退却の一歩が出ない。まるで蛇に睨まれた蛙ではないか。一生会うことはないと言い聞かせはするが、その場すらしのげない僕の心臓は、まさにノミそのものだった。
正直にいうが、僕が会社勤めをドロップアウトしたのには、小心な性格によるところが大きかった。
メタボリックなのに、性格はちっちぇえ
同僚は僕の面前で憎しみをこめて言い放った。憎まれた理由もはっきりしている。
僕は、トラブルメーカーなのだった。
だが、カレー屋は順調だったし、いい加減に永らく貼られたレッテルを剥がしたかったのだ。
僕は生まれ変わりたかった。スパイスの効いた、カレー探偵として。
だが、トラブルメーカーがカレー探偵をするとどうなるか。まさに今僕は思い知ることになった。
脱兎のごとく駆け出すための言い訳を考えていたところ、まさにくるりと背中を向けようとしたその瞬間を老人に捕らえられたのだ。
(つづく)
この小説はフィクションであり、作品に登場する団体や個人は実在しません。