】の、皆さんのコメントを元に構成した朝ご飯を作るまでの様子です。今回は皆さんの要素を入れてます)相武万太郎は、清里にあるペンション「ゆりっぺ荘」のオーナー兼シェフである。彼はこの日、久しぶりに入った団体客の朝食作りに追われていた。
まずは炭火で北海道産の塩鮭切り身をあぶる。相武はパリパリの皮を食べたあと、ふっくらした身をほぐして大根おろしと一緒に食べるのが好きだ。自分の好みをお客様に押しつけるつもりはないが、美味しい食べ方を想像しながら調理するのが料理のコツだと知っていた。
鮭を焼いている間にとき卵を漉して、なめらかにする。卵焼きをふっくら焼き上げるコツだ。均等な層が巻き上がるよう、何回にも分けてとき卵を流し込む。刻んだネギとの相性は抜群だ。
ご飯は雑穀米と白米、2種類を用意するが、味噌汁は短冊に切った大根の味噌汁と決めている。油揚げと小葱が口の中で小気味良いアクセントを織りなしている。
洋食は少しだが作るようにしている。ホテルコクラのチーフシェフのプライドを忘れないためだ。
ハッシュドポテト、スクランブルエッグなど、基本的な料理ばかりだが、シンプルなゆえ逆に難しい。相武は腕を落としたくないがために卵料理に力を注いでいるのだった。
そろそろ、食堂を開ける時間だった。相武は、朝ご飯代わりのブラックコーヒーを飲み、束の間の休息をとった。
思いはいつしか、在りし日の妻百合子のことへ及んでいた。