『劫火』という長編小説を読んだことがあり、手を出してしまった。
この作家さんは、人物をとても上手く描く。『劫火』でも個性的なメンバー達が果敢に巨大な組織と対決していくのだが、それを楽しみたくて買ってみた。
銀行員の主人公は、不良債権処理にあたって逮捕され塀の中で過ごすこととなる。有罪の理由がよく分からないし、闇の真相も正直粗いと感じるが、刑務所内の緻密な描写がリアルに迫ってくるし、主人公や脇役に共感をよぶ。主人公に対する同情を誘うために、何度となく窮地に追いこむのがうまい。
出所して自分がなぜ塀の中に落とされたか謎を暴くのだが、急展開の感が否めないが一気呵成で爽快であるのは、全て主人公に感情移入しているからだ。
プロットにやや難があるものの、それなりに楽しめた。『劫火』で登場するキャラクターが本作でも登場するのが嬉しい。また西村作品を読みたくなる。
五点満点のうち3点。