時計をみる。息子を迎えにいく時間まであと僅か。焦りを覚えつつも、犯罪の痕跡を残さぬよう細心の注意を払う。
事件が露見する犯罪とは衝動的であり、準備不足が原因に他ならない。過去数々の失敗から、私は完全犯罪のやり方を学んでいた。
飛び散ったパウダーを拭き取り、写メールを押さえる。ファインダーを覗いた瞬間、やっぱりチェブラーシカのほうが良かったかしらと思ったりした。
可愛いデコ弁を嫌がる息子、やっぱりキティーも嫌だろう。ならば、母であるあたしが一切の痕跡を消し去ってしまおうではないか。幸いにも、写メールをブログにアップするだけの時間は残されている。これで主婦のささやかなご褒美についての真相を知っているのはあたしと読者さんだけになるわけだ――。 んふふ。
《カテゴリー:コメディ小説》