【行きずりのトランプ】 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

不思議な魅力をもった女性だった。


名前を凜、とだけ名乗った。大人の色香を漂わせる黒を基調にしたコートのインナーには、紫を差し色にしたコーディネート。なのに大切そうに抱えているクマのぬいぐるみが目をひいた。






「鳥居みゆきのファンなのかい」


この女を落としたい。そんな焦りからか、馬鹿げた台詞しか思いつかなかった。だが凜はころころと笑ってくれた。もてない訳はないだろうが、ステディがいないようにみえる彼女に、俺は一目惚れしていたのだ。



直球勝負しかできない俺だが、こんな日に限ってしどろもどろ。まったく、立川のジゴロと呼ばれた俺も腑抜けになってしまったのだから、相当なものだ。



君がほしい。震えるように気持ちを伝えると、凜は何も言わすについてきた。クリスマス万歳。俺はサンタにキスをした。



それからの記憶がぷつりと途絶えた。気がつけば朝だったのだ。



ベッドの脇には凜の持っていたあのぬいぐるみが置いてあった。彼の耳に挟まれていたメッセージを読んで判然としなかったが、ぬいぐるみを持った瞬間、愕然とした。




―犯罪者の世界へようこそ――



ぬいぐるみには、頭蓋骨が埋められていたのだ。とんでもないジョーカーを掴まされちまった。



以来俺は、毎夜ぬいぐるみを抱え込んだまま、ナンパに励んでいる。








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