今宵もそこここで、誕生日の祝いの歌が響き渡っている。私には聞こえる。不協和音として、だが。
今日本で歌われているのは、海の外から伝播された歌である。日本では古来より、誕生日を歌で祝うことは禁忌とされてきた。七五三という祝いの場ですら、人間は歌わない。私を覚醒させたくはなかったのだ。覚醒しないよう、我が子への子守歌に織り交ぜながら、私をうとうととさせてきたのだ。
だが、それも今夜で終わった。
私はついに、揺り起こされた
2000年の眠りから、目覚めたのだ。
小賢しい輩に封印され続けていたが、今宵存分に暴れまわってやろう。
歪(いびつ)に歪んだ世の中に違和感を覚えている日本人たちよ、安心するがよい。孤独と憎悪と嫉妬と貧困と差別と悪と、ありとあらゆる暴力的な感情によって創られた私が、皆の心の隙間に入り込み、すべてを殲滅させてやろう。
この世からなくなってしまえば、違和感など感じることすらなくなるのだ。
私の誕生日は、有史類を見ない悪夢に包まれるであろう!楽しみで仕方ないな。
これが犯罪者に共通する、決して覚えていないが見させられる、夢である。
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