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奥村は中国側に会談までその存在をしらせないよう大沢に要請していた。その約束は果たされ、当日の会場は蜂の巣をつついたかのような騒ぎとなった。
大沢は、このような騙しうちが関係悪化に繋がることは分かっていたが、テロの危機に晒されている以上やむを得ない措置であると弁明した。
果たして奥村の思惑通り、中国の最高責任者に死を突きつけながらの会談は開催の運びとなったのだった。
「こんな形でお会いすることになるとは、夢にも思いませんでした」
「君とは、台湾統一の件で協議するはずだったのだがね」
「それで僕の身柄を拘束しようと必死だったわけですね」
「大沢さん、このような失礼な輩を野放しにした責任は非常に重いものです」
「ごもっとも。だが非常事態だったということをご理解頂きたい」
「孫さん、大沢さん。僕にはもはやどうでも良いことに時間を費やす時間はありません。そく本題に入りたい。今回の[ステルス]を生み出した責任者である梁さんを呼んで頂き、すぐに説明を頂きたい。[ステルス]をどのようなルートで手に入れ、そしてどのように開発していたのかを…」
「時間がないとはどういう意味かね」
「文字通りに受け取っていただいて結構です。早くしなければ、僕の体から死の兵器が旅立ってゆくことになるでしょう。
僕の性格はある程度お分かりになるでしょう。ハッタリは言わないタイプです」
「…分かった。梁を呼ぶこととしよう」
孫は落ち着いた様子で側近に指示した。
数分後、中華人民解放軍の最高幹部であった梁が会議室に入ってきた。[ステルス]をハッキングされたかどで更迭された梁はやつれた顔つきをぶら下げていた。まるで死に神だ、と大沢は驚いた。
(つづく)
この小説はフィクションであり、作品に登場する団体や個人は実在しません。《カテゴリー:サスペンス小説、恐怖小説、怖い話、恐い話》