何年目の冬を越しただろう。
美咲は、庭先で、太陽に向かってまっすぐに伸びた狂い咲きのひまわりを見ながら、思いに浸っていた。
あれは確か3年前のクリスマスイブのことで、美咲は当時付き合っていた英之とデートを楽しんでいた。
夜景のみえるレストラン。高まるムード。雪崩のようにホテルへ。英之は美咲に、そっと指輪を渡しプロポーズした。
「僕とずっと、一緒にいてほしい」
美咲は思いもよらない言葉に動揺した。自分が待ち続けていた瞬間が、今唐突にくると考えていなかったのだった。
美咲は妖艶に微笑むと、身に付けていたバスローブをほどいた。紐を英之の首筋に巻きつける。英之がありがとうと叫んだ瞬間、一気に引き絞った。
きりきりと紐がきしみ、英之の喉から歓喜と苦悶が混じり合ったか細い声が漏れる。
ひゅーひゅー、という音がしなくなったと思うと、180センチ75キロの肉体が倒れこんだ。止まった心臓と無関係に右手に巻かれていたパシャCは時を正確に刻んでいた。
美咲はそのパシャ以外の物体を丁寧にホテル備え付けの斧で砕き、リネンに包んだ。彼の遺体は一欠片も余すところなく持ち帰り、庭に埋めたのだった。
彼と一緒に生活してから気づいたのはその日々の成長が楽しみになったことだった。彼は最期に種子を土に落とし、その一生を終える。そしてまた翌年、新たな生を受けてくるのだった。
私が生きている限り、彼をずっと見守っていられる――。
美咲はそう思うと、ひまわりの種をも愛おしくなる。口の中に放り込むと、一気に砕いた。
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