【女神-TOKIO-予測変換】 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

[NEMOTO KIOIZAKA LAW OFFICE]という表札を掲げたドアから、その男は出てきた。


仕立ての良い紺野スーツの襟には、金色のバッジが輝いていた。エレベーターで偶然、彼より年配の中年男性に声をかけられた。


「根本先生、今から法廷ですかな」

「いえ、被疑者の自宅で現調です」

「国選ですか、割に合わんですなぁ」中年男性は腹をさすりながら、言った。大して興味がないのにエレベーター内にいる間だけの会話。根本と呼ばれた男はそれを無視して階表示を凝視していた。

「じゃ、私は法廷なので」

「では」


根本は同業者から解放されるや否やタクシーをつかまえた。タクシー内では、携帯電話から片時も目を離さなかった。


陽気な運転手は根本に話しかけようとバックミラーを覗いたが、異様な胸騒ぎがそれをやめさせた。


根本は携帯電話を弄りながら、ブツブツと呟いていた。


「考えていることや生活なんてな、予想変換機能で分かるんだよ。


…ははは、ボクのことをそんな風に思っていたのかい。


…君はボクの女神様さ。もうすぐ、一緒になれるよ…」



運転手は男を麻布交差点からほど近いマンションに降ろした後、短く叫んだ。胸騒ぎの原因。男は明らかに女性のものと分かる、ストラップがいくつもついた携帯電話をいじっていたのだった。









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