【Act of God】 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

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ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

アメリカ合衆国はカリフォルニアの、とあるプライベートビーチ。霧状の雨がジェイコブの肌を濡らし、その日の朝のジョギングは肌寒いスタートとなった。


ピッチをあげ、海岸沿いのコースへと移った。霧雨と朝日がカリフォルニアの海面を幻想的にしていた。ジェイコブは意識がクリアになってくるのを感じながら、美しい暁色の光景に見とれながら路面を蹴り続けた。


ふと目を落とすと、砂浜が黒い影となって蠢いているようにみえた。思わず足をとめ、絶叫した。砂浜には黒い鼠がびっしりと並んでおり、海に向かって走っていたのだった。









そのころ、年老いた鷹が北京の中心部にある官僚向け宿舎のはるか上空を通過した。彼は食料のありそうな湖周辺に移動中だった。元々は北西部の農村部で鷹師によって飼われていたのだが、その鷹師が老衰死したため、自らの食料を得るためにあちこち流浪の旅をしていた。


老いたとはいえ、獲物を見つける嗅覚は今もなお鋭い。どこかに小動物はいないかと上空から物色していたのだった。


前方に、人気のない湖がみえた。死臭を嗅ぎ分けることのできる鋭い嗅覚をもつ鷹らしく、数日振りの食事を得るため様子をうかがった。


高度を急降下させた後は付近を周回し下界を覗き込む。そこで見た世界は、長い間各地を飛んできた彼すら、およそ見たことのない世界が広がっていた。


無数の人間たちが、山林から湖に繋がる獣道にびっしりと連なっている。それらは皆一様に無表情のまま、規則的な歩調で湖に向かっている。それらの先端に目を向けると、次々と入水していく。黒い頭が湖面に消えていくのを、鷹はしばし呆然と眺めていた。








鷹よりはるか上空の大気圏のほど近く、この世界を司っている大いなる存在が、それらをじっと見ていた。この世界を造ったのは彼だったが、彼の支配をも超えるこれらの出来事に、困惑していたのであった。




このような不思議な現象を人間は、十把ひとからげにして人智でははかれない[Act of God](不可抗力)で片づけようとする。彼は遂に、文字通り匙を投げてしまった。


それが、ビッグバンの始まりだと言われている。















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