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テレビではどの局も、現役内閣総理大臣の暗殺というショッキングなテロを大々的に報じていた。
民衆党副総理として首相代理を務める舘がカメラの前に登場し、涙ながらに門倉の死を悼んでいた。
「テロリズムと断固戦った首相に敬意と哀悼の意を表します。憎むべきテロリストはすでに逮捕いたしました」
奥村は、改めて政治家の厚顔無恥ぶりに呆れ、激しい怒りを覚えた。
奥村の交渉によって、佐知子と大二郎は門倉暗殺に巻き込まれたこととなり、逮捕されたのは無名の極左活動家だった。
大沢を筆頭とする反政府グループこそ頭のいかれたテロリストであり、民主主義の敵だった。
佐知子を失った奥村に残された感情は革命の情熱ではなく、大沢や舘に対する復讐、もっといえば蒋介石の孫という血に対する復讐の念だった。
自分が台湾の祖である祖父の血が混じっていなければ、佐知子は殺されずにすんだ。自分に対し、一族に対し、あまりに重い運命に怒りを向けずにはいられなかったのである。
奥村は自宅のテレビのスイッチを切ると、電話をかけた。厚労省に顔がきく奥村隆史と政治家にパイプをもつ蒋永春を使いわけ、佐知子が属した反大沢グループを探し、彼らと接触しようとしていた。
程なく、防衛省長官の永沢の名前をあぶり出すことに成功し、奥村は永沢と会談する運びとなった。
(つづく)
この小説はフィクションであり、作品に登場する団体や個人は実在しません。