館内はうそ寒く、背筋を悪寒が駆け下りた。
あまりにも内容が奇っ怪だった。めくる指先が震えているのを見つけ、初めて自分の指だと気付いたくらいだ。
次第に視界が曖昧になり、本の中の文章なのか、自分の頭の文章なのか分からなくなった。
それでも私は、ページをめくっていたようだった。紙の乾いた音だけは鋭く、耳朶を打った。
ぺら。ぺらぺらぺら。ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら
やがてそれは、カチリという音に変わっていった
カチ、カチ、カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
カチリ。
まるで追体験のようなストーリー。図書館にはあの老女がいて、主人公にあの本を渡す。老女の粘ついた嗤い声。悪寒。
本の中にデジャヴをみた。そして、恐る恐るページを確認すると、私の体験した今を、空白に埋められていく。次々と活字が追加されていく。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
もはや私の実体は「終わらない本」と一体をなしている。
そして、今「終わらない本」はどこにあるのか…
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ、カチリ。
あなたが今まさに読んでいる本、これが「終わらない本」なのだ。
エイエン ニ ツヅク・・・