【運命の賽の目】最終話 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

「い、命がけですか?」


思わずたじろいだエヌ氏に、彼は今日の晩ご飯の話をするかのようにいった。「とはいっても行動自体は大したことではない。ただこのサイコロを振るだけじゃ」


「サイコロをふればどうなるのですか」


「2から6までの数字が出ればdead、それ以外だとaliveじゃ」


エヌ氏は目の前にある賽を見つめた。2つのサイコロを振るということは、12分の5の確率で死ぬのだ。


エヌ氏は考えた。サイコロを振らなければ死なずにすむが、仕事も辞めて今の生活に浸りきっている中、
神に見放されるのは万死に値すると恐怖にうち震えた。


自分で投資を続ける才覚などないことをエヌ氏は熟知していた。だからこそ、神に出会うまでの40年間、平凡な人生だったのだから。


生存の可能性のほうが高いのは分かっているが、それでも振るのは怖い。背中に冷や汗が滝のように流れる一方、口の中は緊張でカラカラだった。


考えに考えた末、サイコロを振ることにした。握った瞬間、四角が汗水に浸された。


心臓が爆ぜそうなほど激しく膨張している。考えてみるに、もしも死の目が出たら…どのような形で死んでしまうのか?


「それは教えられん。だが、気がつくより前に死んでいるだろうて、ほっほ」


胃がせり上がってくるほどの恐怖がエヌ氏を襲う。手のひらにある2つの賽が燃えいるように熱い。投げ出してしまいたい衝動に駆られた。目がかすむ。だが、投げないわけにはいかない。今もつ全ての資産を全力で守るため、投げなければ。


ついにエヌ氏はえいと賽を投げた。



4。



刹那、エヌ氏の心臓は爆ぜ体は崩れ落ちた。どさりと音がした。


彼はびっくりした様子でエヌ氏の死を確かめ、思わずつぶやいた。「まさかほんまに死ぬとはの…くわばらくわばら」


「わしのカンなんてたまたまのたまたま。あやつ、恐怖でショック死しおったわい。まさか、賽の目(dice)の単数形は死(die)という洒落が現実になるとはの。


ま、あやつの残した財産でわしもいよいよ億万長者じゃよ」


彼は、エヌ氏として第2の人生を歩むことを以前から決めていたのだった。


彼は、ずだ袋にしまっていた文庫本を取り出し、拝んだ。「あんたのおかげじゃ」


その本の表紙にはこう書かれていた。




「あなたも神様になれる!カリスマ宗教指導者への道」