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内閣総理大臣、門倉輝一郎は、手の震えを抑えることができなかった。
門倉はマスコミや世間から「大沢の操り人形」と揶揄されることにも慣れていたし、否定するつもりもなかった。
門倉には門倉なりの信念があり、己の信じる日本の未来が、大沢に任せられると確信していたからこそ、
批判の矢面にも進んで立ったし、莫大な資金提供も厭わなかった。
だから、防衛省長官永沢から、大沢の進めている破廉恥な計画を聞いたとき、目の前の永沢を忘れ、罵りの言葉を連発した。
普段温厚で冷静沈着でなければならない首相の隠された一面を見せつけられた永沢は、次の言葉をかけるのをしばし躊躇った。
やがて門倉は、静かに永沢に呼びかけた。「……何としてでも大沢の蛮行を止めなければならない。私の政治家生命を賭けることとなっても」
門倉の静かな決意には、数々の大物政治家と議論を交わしてきた永沢をも震えさせる力強さと狂気を感じさせた。
以後、永沢は門倉の庇護の下、大沢の暴走を止めるために奔走することとなった。
だが、一国の首相であれど、大沢を出し抜くためには極秘裏に動かない訳にはいかず、最小限の人員しか確保できない。その中に、三崎大二郎および三崎佐知子が含まれていたがため、日本の運命はまたもや翻弄されることとなってしまうのだった。
(つづく)
この小説はフィクションであり、作品に登場する団体や個人は実在しません。