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「ウイルス感染者だった私がなぜこうして生き長らえているのでしょうか」
「さぁ私には何とも」
奥村は、ブラフをかけることにした。「私が研究者であることはご存知だと思います。あなたにも感染の危険性があるのですよ」
「ご自分の心配をなされてはいかがですか。まだ体調万全ではないとお見受けしますが」
男の反応から、感染がないことの確信が見てとれた。
「あなたは感染の心配をしていない。そんな人はごく僅かだ。何者なんですか?」
「核心をつく質問ですね…。先ほども言いましたが、私は申し上げる立場にありません。ただ…独り言を言わせていただくなら、あなたが回復すれば、私のボスが面談に来られると思いますよ、蒋さん」
やはり。
ここでようやく、奥村は、「スピード」は自然発生のウイルスではなく、政治的意味合いを有した細菌兵器なのだろうと当たりをつけることができた。
ならば。
「スピード」は奥村いや蒋永春を確保する手段としてはあまりに回りくどい。蒋を確保する本当の理由は一体「どちら」なのだろうかと、奥村は密かにうち震えた。
(つづく)
この小説はフィクションであり、作品に登場する団体や個人は実在しません。