オジーとシャロンが病院から自宅へ戻っている途中、ケイトからシャロンの携帯電話に連絡が入った。
「ランディが行方不明になったの!ちょっとした隙に逃げ出してしまって…」
「あの子なら大丈夫よ。頭のよい子だもの」
「シャロン、犬の死亡原因のトップは交通事故なの」
それを聞いたオジーはいてもたってもいられず、急遽ランディを捜索することにした。
いつもの海岸沿い散歩コースをまわり、はじめてランディに連れられた雑木林も見て回った。
2人は大声でランディの名前を呼びかけたが、彼の姿を確認できなかった。
日は暮れ、オジーの疲労を心配したシャロンは、いったん自宅へ戻ることを提案した。
「俺のせいであいつが死んでしまったらと思うと、休んでなんかいられないさ」
オジーは強がったが、シャロンは、これ以上私を心配させないでと強い口調で諭し、帰途についたのだった。
夕暮れの街角を抜け出して、生ぬるい潮風がそよいでいる自宅付近へと車を進めた。
ひっそりとした沿道の先に、緑色の並木に囲まれた平屋が見えてくる。
車窓を開け放っていたオジーは、ふと、並木のささやきの向こうから、聞き慣れた声が聞こえるのに気づいた。
オジーは、思わずアクセルを強く踏んだ。シャロンも気づいた。
白いペンキが塗られたオジーの庭の柵の前で、再会を喜んでいるかのように、ランディは座って待っていた。
「ランディ!」
オジーはホンダから飛び出すと、ランディに駆け寄った。
ランディはオジーに飛びつく。
「ランディ、俺が悪かった。お前を離したりするもんか。お前は俺のパートナーなんだから…」
オジーはあふれる涙をおさえることなく、ランディをただ抱きしめた。
ランディは彼の顔をひとしきりなめ、オジーを許したのだった。
(続く)
※本作品は、アメリカの実話を元にした小説です。