「まったく、なんてだらしない奴だ!おい、フローリングによだれをたらすんじゃない!」
「ランディは暑がりなのよ。あなただって家の中でダラダラ汗だくじゃない」
「クーラーを買い替えられなくて悪かったな」
「そういうつもりじゃないの、ごめんなさい。とにかく、ランディと散歩でもしてきたら?」
「ふん、まぁいいだろう。俺はたまたま外出の用があるだけだ。連れていってやるが、邪魔だけはするなよ」
オジーは、だるそうなランディにリードをくくりつけ、涼むために海岸沿いへ向かった。
オジーは、無精不精迎え入れたランディを初日にして早くも後悔していた。
ランディは、部屋でダラダラしていたかと思えば、屋外に出た瞬間、凄まじい力で彼を引きずった。
「おい俺は心臓を悪くした中年男なんだ!セラピー犬なら加減して走らんか!」
息はあがるうえ心臓も何だか痛い。オジーは悲鳴をあげた。
ランディがオジーを連れてきたのは海岸沿いではなく、反対側エリアの雑木林だった。
林に入ったランディは、途端にそのスピードを緩めた。
ほっとしたオジーもリードを緩めた。刹那、ランディは脱兎のごとく林を駆け抜けていったのだ。
オジーは口汚く罵った後、重荷を捨てられた解放感を抱えて自宅に戻った。
ドアを開けるとシャロンの笑い声がオジーを出迎えた。「あらランディは先に帰ってるわよ?何をしてたのおじいさん」
楽しげな妻をじろりと睨んだオジーは、驚く間もなくランディに歓待されたのだった。「おいバカ、重たいじゃないか!顔をなめるんじゃない!」
(続く)
※本作品は、アメリカの実話を元にした小説です。