パニック小説【感染者】第9話 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

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ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

◆4月16日午後1時45分◆







奥村は、自分の仮説を頭の中で進めた。





奥村は、これまで、ウィルス「スピード」によって人体内部で出血すると思い込んでいた。





「スピード」によって癌細胞が形成されるのは疑いなく事実だと考えられるが、

出血はどうか。





確かにウィルス侵攻中もおびただしい出血があるが、

「血」が潜伏していたウィルスを覚醒させるのだとしたら?





「スピード」と「血」の死のコラボレーションが、今回の感染症の正体なのかもしれない。





ヒアリング結果によれば、感染者が元々出血していた可能性は高い。





例えば。

先ほど死亡した70才老人は、「スピード」によって脳出血を引き起こしたのではなく、

脳出血が「スピード」を覚醒させたのだ。





突然、奥村は、インターフォンの音で現実に引き戻された。





だが他の者に任せることに決めこみ、缶コーヒーを一口飲むだけで再び仮説検証に戻った。





最初に運ばれた20才女性はどうか。





彼女は、全身の中では胃からの出血が最も多かったが、

取り寄せた彼女のカルテから推測するに、ストレス性胃炎による出血だと考えられる。





奥村自身も、ストレスで胃がやられて出血することが間々あり、

さっき食べたサンドイッチを消化するのが辛いのか、

チクチク痛みだした。





腹部をさすりながら、缶コーヒーをすすっていると、デスクに放置してあった携帯電話が震えだした。





めったに受信することのない電話をいぶかしみながらも、

携帯画面を確認してみると、

アドレス帳から消せなかった、「三崎佐知子」の名前が表示されていた。









(つづく)

この小説はフィクションであり、作品に登場する団体や個人は実在しません。