パニック小説【感染者】第4話 | 相武万太郎オフィシャルブログ「六転び七転び八転びROCK。」(音楽、小説、酒)

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ベッキーがテレビに出てるとチャンネルを変えてしまう男が、好きな音楽や小説を語ったり書いたりらじばんだりしています。音楽は洋楽ロックメインだったが最近はハロプロ大好きです。特にANGERME。

◆4月15日午後1時00分◆







奥村は急ごしらえの会議室に集まったメンバーを見渡した。





拡大被害を防ぐための防護服に身を包んでいても、

奴らの濁った目はよくみえると、

奥村はかつての同僚を密かに評した。





国立感染症研究センターの人間に、厚生省の感染症対策室メンバー。





感染症研究に日夜没頭する研究者と、

政治的駆け引きに長けたお役人が一同に会していた。





奥村もかつては医師でありながら、

研究の道に邁進していた一人だった。





しかし今は、新宿区救命センター所長の後ろに控える、ただの医師に過ぎない。





訳あって研究センターを辞めたが、こんな形で再開するとは夢にも思っていなかった奥村は、

辞めた原因となった、三崎佐知子をまぶしい思いで見つめ直した。





佐知子は、まだ30代にしかみえない容姿だが、

美貌と知性を兼ね備えた、国立感染症研究センターの若きエースだ。





奥村は、10才以上年の違う佐知子と道ならぬ恋に落ち、

研究センターの所長を務める彼女の夫の逆鱗に触れ、

職場を去ることになった。





あの頃味わった、甘酸っぱさと苦味を反芻しながらも、

会議の主役となってしまった自分を奮い立たせて、

厚生省のお役人がなした冒頭挨拶を引き継いだ。





「死亡した3人はいずれも急激な癌に冒されていました。



おぞましいスピードで進行していきました。



これを感染症と考えたのは、死亡した者が全員、

歌舞伎町の風俗店「elevenーeleven」の従業員だからです」





「放射能汚染は考えられないのかね」



「進行が速すぎます」



「ウイルスの特定はできたのか」



できたら会議をここでしていないと思いながらも、

辛抱強く答えた。「いいえ」





「ならば、感染症と決めつけるのは時期尚早ではないかね」





「ですから皆さんにお越しいただいたんです」





佐知子が奥村と厚生省感染症対策室長の間に割って入った。「時間がないので、特定に全力を挙げましょう」





佐知子の声に過敏に反応してしまう自分を呪いながらも、

奥村は救われた思いでプロジェクターのスイッチをONにした。





奥村自身も、感染した可能性があり、自らの死と対峙しながら、

このパズルを解かなければならなかった