素朴な民宿をイメージしていたが、
想像と違い、豪奢な洋館であることに驚いた。
明治時代、諸外国の要人のためのゲストハウスとして建てられたと、
部屋にあったパンフレットに説明されていた。
きらびやかな洋館が山深くにあることが不釣り合いだったが、
その要人たちも登山したのかと考えると腑に落ちない。
何より館全体の醸し出す雰囲気が、言い得ぬ肌寒さを感じさせる。
私は霊感の強い方ではないし、酒で気を紛らわせば後は寝るだけだ。
道中は楽しめたし、これでよしとしよう。
自らを納得させると、風呂の準備を始めることにした。
夕食前にまず天然温泉をいただいて、疲れを癒やそうと思ったのだ。
私はいそいそと露天風呂になっているらしい温泉場に向かった。
(つづく)