あの日以来、ノボルは、 心を痛めている。
カズオが軍団からいじめられるようになってから、
巻き込まれたくない一心で彼とのコミュニケーションを避けていたからだ。
軍団のヤツらはやり方が徹底的だ。
フォローしようものなら、そいつをまずいじめぬく。
無視なんて可愛いものだ。
教科書への落書き、
机に犬のうんちを入れたり、
エンピツで背中を突き刺す。
先生にチクったりしようものなら、何をされるかわからない。
こうして軍団の悪事はカンゼンハンザイになっている。
ノボルはカズオと家が近く、
時々顔を合わせるとおしゃべりする間柄だった。
何かできることはないかいろいろ考えたが、
自分がいじめられるのが怖かった。
もともと友だちの少ないノボルは寂しくなったが、
自分にできることはカズオに謝ることぐらいだったが、なかなかその機会もなかった。
ある日、学校からの帰り道、
ノボルが舗装された道から何気なく脇の空き地に目をやると、
何か楽しそうな声が聞こえてくることに気づいた。
空き地の奥にはうっそうと茂った林原があった。
そこは、お化けが出ると評判の林で、
クラスの皆は近づかないようにしていた。
しかし楽しげなトーンに惹かれて、
ノボルは意を決して、中に入ってみることにした。
少しだけ。
そっと。
ノボルは、
自分の心臓の音がお化けに聞かれているのではと心配になり、
口を閉じた。
自分の背丈ほどもある葦をかきわけ、
つま先立ちで楽しげな声に近づいていった。
第2話につづく