「才色兼備」は彼女のためにある言葉。
面接中、不謹慎にもそんなことを考えていた。
頭の中とはまったく別の言葉が僕の口から流れている。
「・・その点が御社に惹かれた理由です」
あなたにも惹かれてるかも。
「・・・履歴書の写真を持ってまいりました」
カイが写真を撮らせてほしいと頼んでいたな。
僕も頼みこんだら撮らせてくれるかな。
「何か質問は?」空想は彼女からの、面接終了を促す問いかけによって破られた。
僕はおくびにも出さず、「ありません」
まるで一方的な合コンだな。縁があったら、また会ってくれるかい、マチルダ・アジャン。
シングル時代の、セピア色した思い出の1ページ。彼女とは、その後会うことはなかった。