目時(めとき)は、青森県と、岩手県の県境に

あり、家の近くのつり橋を渡った先は、岩手県

だった。

そのつり橋がかかった川は、馬淵川(まべち

がわ)といい、大きな川だった。

川岸から、2,3メートル離れた所に、

「かっぱ島」と呼ばれる岩があった。

岩の形と、岩の上が平になっていて、草が

生えているところが、かっぱの頭みたいという

わけで、「かっぱ島」と名付けられたのだと

思う。

小学校高学年だった兄たちは、その岩へ、

飛んで渡っていた・・・のだと思っていた。

時々、きゃっぱり(泥にはまること)して

帰ってきたので、着地に失敗した・・・のだろう

と思っていた。

そして、釣りを楽しんでいた。

釣れるのは、小さな鮒ばかりだったが、とにかく

釣れることが楽しかったのだろう。

 

小学校低学年の私は、その話を聞き、ただ

うらやましいと思うばかりであった。

 

 

後日談として、かっぱ島は、川岸から、もっと

距離があり、渡れないと聞いた。

しかも、「かっぱ島」ではなく、現在は、

立て札が立ち、「ひきうす岩」となっている。

しかし、かっぱ島と、太平洋へと続く馬淵川。

私の子供時代の、想像力がかきたてられた大事な

「かっぱ島」だった。