今回は、希少性の高い「ヴィンテージ・トニック」で作製したスリーピース・スーツの紹介です。
9月から日照時間の少ないスッキリしない陽気が続いていて、珍しく晴れた日には真夏のような蒸し暑さで、一昨日は東京都心でも気温が32度まで上昇し10月とは思えない記録的な暑さの中、私の服装は「シャークスキン」のスーツ2着と、「トロピカル」から「ウーステッド」までのブレザー4着でのローテーションで、こんな中途半端な陽気が続くなら軽量な「サージ」のブレザーをもう1着加えておけば良かったと後悔しているところです。
このスリーピースをお借りした方は、7年前の12月に「ローデンコート」を買われてからのお付き合いで、それからの1年間で「サージ」と「メッシュ」のブレザー、「アイリッシュリネン」と「グレーフランネル」のスリーピース、「キャメルヘアー」のポロコートと、“天神山流”で提案し続けているこだわりのアイテムを一気に作られ、それに伴いシャツ、ネクタイ、ポケットチーフ、マフラーと名脇役の小物も合わせて揃えられてから、ご自分のスタイルを磨きつつ5年半ぶりに来店され、最終章のネイビーのスリーピース・スーツへと、まずは「ヴィンテージ・トニック」で作製していただくことになりました。
この素材は、高級英国服地を中心に革新的コレクションを生産し続けている世界を代表する生地マーチャント“DORMEUIL”社の、目方390gのモヘア50%とウール50%混紡の3Ply織りで、「ドーメル」社を世界的に有名にした最大のヒットと言われている「Tonik」の復刻版で、真夏以外のドレスアップ・スタイルには相性が良く、永遠の名品と言える優れものの素材ではないでしょうか。
モデルは、ナチュラルショルダーでアームと衿幅がやや広い「CRCS」を使い、シングル3ツ釦段返り、スタンダードにフラップポケットのサイドベンツにして、当然のようにウエストコートを加え、トラウザースはクラシックにリバースプリーツで少し太めに作成しています。
今回のコーディネイトは、白いピケ織りのレギュラーカラーシャツに、ハウンドトゥースのジャカードタイを締めて、パイピング付きのポケットチーフを華やかに飾り、靴は「古き良き時代のアメリカ靴」の“JOHNSTON&MURPHY”社のフルブローグで決まりですね。
「ドーメル」社の希少性の高いヴィンテージ・コレクションは、この「トニック」の色違い6色と、目の詰まった450gのツイード調の「スポーテックス」6色と、近年の軽量化傾向の中では仕立て映えのする貴重な復刻版コレクションですので、これから始まる秋冬シーズンに加えられてはと思っています。
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