山口県の県立光高校で、手製爆弾を教室で爆発させるという事件が起こった。悲しい事件だ。

調べによると花火をほぐした火薬を、大量の釘といっしょに瓶に詰め、爆破させたらしい。

爆弾の作り方をどうやって調べたのかと思って、「爆弾 作り方」で検索してみた。

いっぱいある。そこからリンクを辿るとすぐ製造方法も見つかる。プラスチック爆弾でさえ信管付きで買える。

インターネットへの接続環境は、高校だけでなく小中学校でもかなり充実してきている。

おまけに家に帰れば自分用のPCだって持っている者も多い。知ろうと思えばたやすい。

釘を入れると爆発時の殺傷能力が高まる。これは過激派が作った鉄パイプ爆弾などにも見られる。

殺傷能力というのは「人を傷つけ、殺す能力」だ。高まれば子供が作った爆弾で大勢の死傷者が出る。

子供には「責任能力」がない。未成年者の罪悪うんぬんよりも、子供が「死傷者を出すための知識」まで簡単に、ネットでアクセスできる状況がある。

ネットが普及する前は「爆弾の作り方」は、書店に行かなければ手に入らなかった。それも大きな町の大きな本屋までいかないと無かった。

そこでは子供が買おうとしても「子供には売らないよ」という線引きがあったように思う。

昔、時限爆弾の作り方についての本が発売禁止になった。いっせいに書店からは消えたが古書店では売られていた。

インターネットは無料の古書店のようなものだろう。そこでは書店の倫理観は通用しない。

最近「子供が悪いコンテンツにアクセスできないようにする」フィルタリングソフトの需要が高い。

これを使えばエロやグロ、悪質なサイトなどをシャットアウトできる。

学校での導入が盛んだが、それは書店での「発売禁止になった本を売らない」ということに近い対処方法だ。

「爆弾の作り方」を「無いものとしよう」としても無理だ。実際あるのだから。

アクセスさせなかったらそういうコンテンツに対しての「耐性」は育たない。無菌室で強い子供を育てようとするようなものだ。と思う。

たとえば、ある暴力的なゲームを発売禁止にしても、同種のゲームはいっぱいあるのだ。

自分が中学生の頃通っていた塾では、大学生が講師をしていた。彼らは勉強も教えてくれるが、それ以外に時事問題から子供同士のつきあい方まで、いろいろコメントしてくれた。のんびりした時代だった。

そこでは「悪いものを一緒に見て、それに対するコメントをすることで子供の理解を育てる」という事が普通にできていたと思う。少なくとも逃げてはいなかった。

「子供が何を考えているのか分からない」と投げ捨てるよりも、もっと子供とふれあう必要があるのではないか。

それは教師だけでなく、家庭でも同じだろう。

爆弾の作り方にアクセスさせない事も考えなければならないが、教師や親の共通認識として「爆弾はなぜ作ってはいけないのか」「なぜ人を傷つけたり殺そうとしてはいけないのか」「暴力はどうしていけないのか」を子供にもっと語らなければならない。

「知っているけれども作らない」子供に育てることが大事なのだ。

「対話をする時間がない」とか「どうやって対話していいか分からない」と逃げていれば、子供の殺傷事件は増えて行くだろう。と思う。

事件があった県立光高校と言えば、NTVの人気番組「全国高等学校クイズ選手権」全国大会の常連出場校でもある。

ぜひ「こういう事件をなくすにはどうすれば良いのか」を、教師が生徒とともに考えてもらいたいと思う。