(『人間革命』第10巻より編集)
23
〈一念〉 23
伸一の話は、なおも続いた。
「それから、もう一言申し上げます。近く教学部の任用試験がありますが、候補生の人たちが、勉強して、全員、合格するように心を配ってください。
その心の配り方が、立派な信心指導であるからであります。
不可能を可能にするといっても、奇想天外な手段があるというのでは、サラサラありません。
着々とした過つことのない実践の積み重ねが大切なのです。ともかく、油断のない持続の実践が大切です。
祈りを込めて、この実践を、ただただ貫き通していくことです。
私は、皆さんを心から尊敬し、信頼しております。生意気に響くかもしれませんが、私は、関西の人たちが大好きですし、かわいい。
それが、もしも、このたびの戦いが成就できなかったら、関西の純真な皆さんの悲嘆はいかばかりか。
それを考えると、私の胸は張り裂けるような思いに駆られます。
しかし、必ず勝ってみせる! この決意は、絶対に変わりません。ただただ、皆さんのために勝ちます!
どうか、これから先、無理と思われる注文を出すかもしれませんが、それは、皆さんも、私も、ともどもに悲しい思いをいないためです」
縦横自在に、諄々と語る山本伸一の指導に、最高幹部たちは、心から頷いて、納得していた。
彼らは、このような厳しくも温かい本格的な指導を、心から求めていた自分たちであったことに気づいた。
しかし、この時、既に百万馬力のモーターに、自分たちの歯車が、思わず知らず、かみ合わせられつつあることは、まだ気づかなかった。
彼らの回転が始まっていなかったからである。