(『人間革命』第7巻より編集)
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〈飛翔〉 24
戸田の関西滞在は、二日間であった。だが、座談会、御書講義、個人面接など、分刻みの指導が真剣に続けられた。
わずか一日か二日の指導であっても、彼は、幾十日にも相当する、全精魂を注いでの戦いを展開した。
「大阪は、必ず発展するよ。こんなに人がいるんだもの」
彼は、ニコニコしながら、街行く人々を眺め、支部員たちを激励するのだった。
「大阪から、貧乏と病気を追放しよう。そのために、私は大阪に来る。共に戦ってくれたまえ。
大阪支部も、東京と並んで発展する時が、必ず来るだろう。頑張れば、頑張るだけの値打ちのあるところだ。
しっかり信心して、一人残らず幸せになってもらいたいのだ」
二日目の夕方、支部旗の授与が終わると、戸田は、方便品の講義を一時間半にわたって行った。
初めて聞く、明快にして深遠な講義に接し、大阪の学会員は、目を見張る思いだった。
庶民のなかに初めて入った、生きた仏法哲学の講義である。感動は決意を刻み、人びとの胸の中に残った。
その夜、戸田の一行は、夜行列車で大阪を後にした。歓喜した支部員たちは、一行を見送ろうと、プラットホームにまで殺到した。
三月に入ると、戸田は、もう一つの地方拠点、仙台に赴いている。
大阪より布石の早かった仙台支部は、実質的な成長過程に入っていた。
彼は、仙台の成長を喜び、「三大秘法禀承事(さんだいひほうほんしょうじ)」の講義を通し、地涌の菩薩の自覚を訴えた。
さらに質問を受け、その一つ一つに対し、生命を振り絞るように、真剣に指導した。
参加者は、仏法の深さに目を輝かせるのであった。