(『人間革命』第3巻より編集)
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〈新生〉 4
組織が秩序だってくると、どうしても幹部の惰性が始まる。しかし、自分では気がつかない。相変わらず、結構やっていると思っている。この相変わらずが、空転になる。それがくせものなんだ」
原山幸一は、いたたまれなくなって、口をはさんだ。
「先生、さっきは私の失言です」
「わかったかい。宇宙の一切のものは、天体にせよ、一匹のシラミにせよ、刻々と変転していく。一瞬といえども、そのままでいることはできない。相変わらずでやれると思うのは、錯覚にすぎない。
そこで、一番の問題は、良く変わっていくか、悪く変わっていくかです。このことに気づかないでいる時、人は惰性に流されていく。つまり、自分が良く変わっていきつつあるか、悪く変わっていきつつあるか、さっぱり気づかずにいる。
これが惰性の怖さです。
信心が惰性に陥った時、それはまさしく退転である。
信心は、急速に、そして良く変わっていくための実践活動です。
あらゆるものを、刻々と変転させる力、それを生命と言い、如々(にょにょ)として来る、この力を如来(にょらい)といい、仏と名づけるのです。
この力を大聖人様は、さらに南無妙法蓮華経とおっしゃった。そして、具体的に、十界互具(じっかいごぐ)の御本尊として、お残しになった。
一切の根本である、このことを度外視して、われわれの信心はない。
宇宙自体も、われわれ一人ひとりの小さい人間にも、すごい生命力、南無妙法蓮華経があるんです。