(随筆『勝利の光』より、抜粋)(池田大作著)
ある哲人が叫んだ。
「母を大切に!母が笑顔でいる日々ー
その一日一日こそが、最良の日であり、最善の日である」
そしてまた、ある世界的作家は語った。
「母は、わが家の太陽です。もし母が陰気に
なってしまえば、わが家から晴れわたる天気の日は
消えてしまいます」
私たちは、この健気な母を幸福にする「責任」がある。
いな「使命」がある。これが「人生」だ。
この平凡にして偉大な母を幸福にしていくことこそが、
全世界の平和への第一歩なのである。
戸田先生は、親不孝の青年に向かって、
「母の涙を知らないのか!」と烈火の如く叱られた。
その姿が脳裏から離れない。
ある時、親に心配をかけ、不良仲間に堕ちていこうとした
青年がいた。先生は私に対し、「おまえは先輩なのだから、
あの青年をビンタしてこい!」とまで言われた。
それほど、親不孝に対して厳しかった。
「親孝行をできぬ者が、なんで幸福に、なんで偉い人に
なれるのか!」
平和とは、遠くにあるのではない。政治の中にあるのでもない。
それは、「母を大切にする」という人間学の真髄
の中にこそあるのである。
教育者も、政治家も、多くの著名人も、母たちへの賞賛を、
さらに深く深く訴えてもらいたい。いな、
書き残してもらいたい。
(2006年6月10日)