「亜姫と蔵ぁ!ボール片付けといてや」




体育の終わり帰ろうとしたら、先生に声をかけられた。





っていうか…

なんで私が!?
めんどくさっ…。











「ごめん、先帰っといて」

「わかった。じゃあねっ」





一緒にいた友達に断って、私はボールを片付けるためにもう一度戻った。











「悪いなぁ。ちょっと俺今から出張やねん。よろしく頼むで」

「はーい」

「わかりました」

「じゃあほな」











先生は颯爽と帰っていった。

出張って…ホントなのかな?





私は少し疑っていた。











「ちゃっちゃと終わらせよか」

「そうですね」

「亜姫…ちゃんとできるかぁ?」




そう言ってニヤリと笑う白石先輩。





「で、できます!失礼しちゃうんだから」

「…可愛いから、からかいたくなってしもうたんやわ」

「嘘言わないでください」

「ホントなんやけどなぁ」

「ちゃっちゃとやりますよっ」

「はいはい」





白石先輩はモテるのに何を言っちゃってるの?

冗談もいいところだし!
もうホントに冗談好きなんだから!











━━━━━━━━━━━

「これで最後か」

「…そう…ですね」

「ほな、帰ろか」

「やった♪」





私は仕事が終わった解放感に満ち溢れていた。

やっと帰れる!





私達は最後のボールを倉庫に入れて帰ろうとした。





「ガコッ」




最後のボールを籠に投げ込み、これで仕事終了!

そして私は倉庫のドアに手をかけた。





「ガチャッ」





…あれ?

なんかドア重くない?





「ガチャガチャッ」





…あれ?
さっきよりも強い力で開けたのに?

ドアが開かない…?











「先輩、ドア開けてもらえませんか?」


自分の力のせいだと思い、白石先輩に開けてもらうことにした。


「亜姫は力ないなぁ。ちゃんと飯食ってるか?」

「食べてます!それより開けてくださいよ」

「せっかちやなぁ…」


そう言って白石先輩もドアに手をかけた。





「男の底力見てみぃや…って…ん?」





「…先輩?」





「ガチャガチャッ」


先ほどよりも大きな音がするというのに、ドアは微動だにしない。


「…開かへん」





「へ?」


驚きで変な力のない声が出た。


「…俺ら…閉じ込められたみたいや」





「へ?」


と、閉じ込められた?

え?え?え?

嘘でしょ!!!





信じられなくてもう一度、私はドアに手をかけた。










「ガチャガチャ

ガチャガチャ」










無機質な音が倉庫にこだまする。
しかし一向に開く気配は見られない。





私…と、閉じ込められた!!!!!!





出れない!

しかも鍵は外に置きっぱなしじゃん!





あああ!!!!!
どうしよう!!!





「白石…先輩…」

「見ての通りや。俺ら…閉じ込められたっちゅーわけや」

「…でもどうして…?」





私は不安でいっぱいだった。
いくら体育館とはいえ…閉じ込められたなんて考えられない!

ここで一晩過ごさなきゃならないの…?

怖いよ…いやだよ…。





「亜姫、落ち着きや」





白石先輩がそう言ったけど不安は募るばかり。
それどころか不安を通り越して身体が震え始めるのを感じた。





「こわ……ぃ」

「落ち着きや!こっち見いや!亜姫!」

「先輩…いやだ…よ……」





私はパニックに陥っていた。





「亜姫!」











白石先輩はそう叫んだ。





すると大きな腕がすっと伸びてきて私をぎゅっと包んだ。





ほんの一瞬のことで緊張をする間もなかった。





白石先輩の顔が私の肩に当たっている。

私の肩に顔を押し付けているようだ。

波のように物事に飲まれて私は何が何だか分からなかった。










「…」





驚きで声すら出ない。
だけど驚きすぎてドキドキすらしない。






「亜姫…落ち着きや。俺が…絶対守ったるからな…。安心せぇや…何もせぇへんから…」





「…せんぱ…い」

「…よし…いい子や…」





そう言って抱きしめたまま私の頭をそっと撫でた。










白石先輩の胸の中って…安心する…。

白石先輩って…不安を取り除いてくれる…。





私は白石先輩の胸の中で徐々に落ち着きを戻し始めた。










「大丈夫か?」

「…は、はい…」





って!
何を冷静に!!

私は急に恥ずかしくなって白石先輩から身体を離した。





「…あ、ごめんな…つい…亜姫が…その…」

「せ、先輩…」








2人に沈黙が流れる。
2人とも次に言うべき言葉を探しているみたい。

私も何と言ったらいいか、言葉を探していた。











そんな折、先に言葉を発したのは…











「なぁ…」











白石先輩だった。











「はい…?」





少しずつ、氷が溶けていくように沈黙が破られる。






「亜姫…」

「…なんですか」





先輩はまるでアンドロイドのように微動だにしない。




「…」

「…何か言いたいことでもあるんですか?」

「…」

「もう、はっきりしてください!」






微動だにしない先輩を見て、私はそう言った。

なんだかいつもと違う。










「…亜姫…」





そう呟くと、白石先輩は私の手を取って、きゅっと握った。





「…はい…?」











「俺と…俺と付き合ってください」











その小さな声は倉庫にはっきりと聞こえた。





そして、私の耳にも。











「…白石…先輩…」

「…本当やから…亜姫が好きから…」





握った手はそのままで、白石先輩は少し恥ずかしそうに言った。








「…信じて…いいの?」










こんな私が…本当にいいのかな…?

本当に本当にいいの?
確かに先輩のことは好きだけど…信じたいけど…











「俺、亜姫のこと大好きやから」











そう先輩は言った。

さっきよりも強く、さっきよりも真剣に。










「…私も…先輩が好きです」










白石先輩…

あなたのこと信じます。
私もあなたが…大好きです。










「ありがとう…」





先輩はそう言って私を先輩の胸へと引き寄せた。

優しく、だけど少し強く。









そして、優しくキスをした。






何度も何度も…そして優しく…。










気がついたら私は先輩の虜になっていた。








「先輩…」

「ん?」

「大好き!」










そんな声が倉庫に響いた。










そして手を繋いだまま眠りについた。











翌日、朝練のあるバスケ部の生徒が倉庫を開けて、声を上げたのは言うまでもない。










それでも2人、笑い飛ばした。











*END*

読んでいただきありがとうございました!

そして亜姫、リクエストありがとう♪

1ヶ月くらいかかってごめんなさい!

またリクエスト待ってますっ´ω`

あと100回するだよ!(笑)



とにかく甘いかんじになりましたかね?

最後少し飛び飛びですが…orz




これ稚拙な文だな!←(笑)



亜姫様に捧げます。
お持ち帰りは亜姫様のみです。