制作年:2013年~2023年
制作国:日本
最初から最後まで、ゆるぎなく面白いアニメでした。10年もかけて放映されてたんですね。先日ようやく視聴終了したのですが、エンディングはなんとも言えない気持ちになりました。
☆あらすじ☆
突如現れた巨人によって絶滅の危機に晒された人類は、巨大な外壁を作ることで100年の平和を得ていた。ところがある日、外壁をも超える大きさの巨人が現れ壁を破壊し、再び人類を蹂躙する。壁内に侵入してきた巨人により母親を失った少年、エレンは、幼馴染のアルミン、ミカサと共に兵団に志願し、巨人を駆逐することを誓う。
お勧め ★★★★★
こんなに面白く、他に類似の作品が思い当たらないほどの個性に溢れた作品は、後にも先にもないのではなでしょうか。規格外の面白さでした。が、ストーリーが難解といいますか、自分の解釈が正しいかわからないので是非とも見直しをしたいところです。
以下、ネタバレを含みます。
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私の理解では、恋愛脳のメンヘラ女の恋愛感情によって人類が長きに渡り蹂躙されつづけ、それを止めるためには今を生きる人類の8割の犠牲が必要だった、ということになっているのですが、合ってるのでしょうか。まあ事態はここまで単純ではなく、巨人の力を利用したかったり、恐れたりしていた人類側にも問題はあったわけですが、こりゃひどい。
なんにせよ、解決の鍵はいつも始祖ユミルが握っていたわけで、たった一人の女をなだめすかせなければ人類絶滅とは、あまりにあんまりな設定ですよね。逆にいうと、たった一人の女をどうにかできれば人類の悲惨な歴史を止められた、ということでもあるわけですか・・・なんかちょっと違うような気も。
このアニメは何度かじっくり見直さないと深い部分はわからなそうなので、かっこいいアクションシーンを楽しみながら、再視聴してみたいと思います。とくにシーズン3あたりから理解が怪しくなってきて、シーズン4にもなると登場人物の名前もあやふやだったので。何度でも楽しめそうな点も、素晴らしいアニメでした。
しかし、エレンは本当にすごかった。幼少期にミカサを救うために殺人をも厭わなかった激しさは、最後まで失われることはありませんでした。今目の前にいる人類8割と、今後の人類の永劫の平和を天秤にかけて、目の前の人類への大虐殺を選択できる人はそうはいないと思います。単純に犠牲の数を考えれば、未来のために今の人類に死んでもらう方が正しいとしても。
しかもその選択を淡々とこなしたわけでなく、巨人の力で様々な時代の歴史をつぶさにみて、考えて、他の方法はないかを模索した挙句の策だというのだから、並みの精神力でこなせることではないでしょう。なにもかも諦めて、ミカサと逃げて、残りの人生を平和に生きる妄想だか夢だかのシーンが、さらに哀しさを際立たせていました。なぜエレンばかりがこれほどの重荷を背負わされなければならなかったのでしょうか。逃げて幸せになっても誰も責められないでしょうに、史上最低の巨悪の役を買って出て、ひとしれず人類の未来を救ったのだからやるせない。虐殺を行ったのは事実とはいえ、あんまりだなぁと。
意外だったのは、エレンがミカサを恋愛対象としても見ていた点でした。ミカサはエレンに対する恋心があったけど、エレンの方はアルミンたちに対するのと同じような意味合いでミカサが大事だったのかと思っていました。自分のことをずっと好きでいてほしい、未練を引きずってほしいとアルミンに暴露したエレンのカッコ悪さがまたよかった。大虐殺をしている青年の、人間らしい本音が垣間見えて、またまた悲しくなるのでした。
しかし、エレンの「これしかなかった」にどうしても納得がいかない。バカではないエレンが、あらゆる時間軸を確認したうえでの話なのだから「これしかなかった」のだろうとは思うのですが、他にもっといい手があったのではないかと思えてならないのです。八百屋に行ってきた人が、「きゅうりしか売ってなかった」と言ってるくらい、いや、他にもあっただろうと思えてならないのです。本当になかったんでしょうけど。
人類のために、エレンを手にかけなければならなかったミカサも悲しい。どんなに愛していても、間違っていたら正せて、失うことすら厭わなかった(厭ってはいたのか)ミカサの強さがユミルの目を覚ましたわけですが、もう少し早く、別なルートでもなんとかならなかったものかと思わずにはいられませんでした。
エンディングにやや不満はあれど、やはり非常に面白い作品であったことに変わりはなく、これを越える作品はしばらく出てこないだろうと思うと終わってしまったのがちょっと残念な気もします。が、最近たくさんのアニメをお勧めされているので、ぼちぼち制覇していきたいと思います。